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- データ活用で失敗しないための3つの条件〔ビジネス部門編〕
分析を始める前に目標から課題を抽出しデータをマッピングする【条件2】
データ活用が失敗するする理由の1つに「今、手元にあるデータから始めてしまう」ということがあります。条件1で述べたとおり、データがあっても、それを分析する目標が定まっていなければ、どれだけ優秀なデータサイエンティストでも往々にして途方に暮れてしまいます。そうならないためにはまず、分析課題を抽出する必要があります。
膨大なデータを分析し、そこから苦労して導き出した活用アイデアでも、現場に受け入れられないとなれば無駄になってしまいます。
データ活用プロジェクトでは、データを分析する前に実施しなければならないことがあります。それは、(1)データ活用の目標設定、(2)データの把握、(3)目標とデータのマッピングです。これらが整って初めて分析に着手できます。
特に、最初の目標設定における分析課題の抽出が不十分だと、プロジェクトが失敗してしまう可能性が高くなります。以下では、データ分析で失敗しないための条件2として、データ分析に着手するまでの実施項目を具体例を挙げながら説明します。課題やデータなどの具体例を挙げるために、架空のクレジットカード会社におけるデータ分析を考えてみます。
目標をKPIに分解してから分析する課題を抽出する
まず、このクレジットカード会社ではビジネスサイドの目標として、売り上げ向上、利益向上および保守費用の削減を掲げているとします。それらをKPI(重要業績判断指標)として分解したのが図1です。ここから予測や分析がしやすい分析課題へと落とし込んでいきます。条件1で述べたように、データ分析が不要なKPIについては、無理に分析の課題に落とし込まなくても構いません。
図1のKPIを予測や効率化、指標の可視化など、分析しやすい形に落とし込んだのが表1です。たとえば、「利益向上」のKPIの1つである「貸し倒れ率削減」は、「貸し倒れ予測」として「貸し倒れリスクのある顧客を過去の履歴から予測する」という予測課題へ落とし込まれています。
分析課題を抽出するフェーズでは、その課題を解決するために必要なデータがあるかどうかは、あまり気にする必要はありません。データの有無にとらわれてしまうと本当に解決したい課題を抽出できない可能性があるからです。
こうした分析課題への落とし込みは、分析経験がないとうまくできないことが多いため、分析コンサルタントの手を借りると良いでしょう。