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コロナ禍でテレワークが“流行る/流行らない”議論の違和感【第1回】
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大で昨今、「テレワーク」が話題になっています。しかし、日本アバイアに入社した10数年前からテレワークを実施してきた筆者からすれば、最近の議論には“違和感”を抱くことが少なくありません。何が違和感を生んでいるのかを考えてみます。
ITネットワーク企業の米Avaya(アバイア)の日本法人に筆者が入社したのは10数年前のこと。当時は「テレワーク」という言葉はなかったので「在宅勤務」と表現した方がいいかもしれませんが、当時から筆者は在宅勤務をしていました。その理由は単純で、オフィスにいてもあまり意味がなかったからです。
採用こそ日本法人の日本アバイアですが、担当はAPAC(アジア、オセアニア、日本)におけるUC(ユニファイドコミュニケーション)のプロダクトマネージャでした。UCは、電話や電子メールなど複数のコミュニケーション手段を状況に応じて最適な形で利用するための仕組みです。
上司はオーストラリアにおり、7〜8割の業務がAPAC向けの仕事でした。会社(日本のオフィス)にいても、海外のメンバーとWeb会議に入ってミーティングしたり、電話やチャットで会話したりがほとんどでした。残り2〜3割の日本向けの仕事も1人仕事が中心です。
筆者より前から勤めている別の製品ラインを担当している日本の同僚に「オフィスにいてもあまり意味がない」と愚痴ったところ、「そんなの家でやればいいんだよ。オフィスには必要な時だけ来ればいいんだよ」との返答でした。
彼は米国本社に採用され、本社で長く働いていたため、考え方は非常に米国人的。とてもドライで合理的です。その時は、一種のカルチャーショックとともに、「ホントにそんなこと、やっていいのか?」といった“罪悪感”にも似た感覚を持ったものでした。
テレワークは「流行る/流行らない」の対象ではない
そんな筆者ですが、今では、「家でやっても会社でやっても同じなら、なんで会社に行く必要があるの?」ぐらい、アドバイスをくれた同僚と同様(いや、それ以上?)に在宅勤務容認派になっています(以後は、在宅勤務とテレワークは同義として「テレワーク」と表現します)。
実際、コロナ禍になるまでの10数年間、途中でAPAC担当のプロダクトマネージャから日本の販売パートナー担当に立場は変わりましたが、客先での打ち合わせがある日と、社内で複数の打ち合わせがある日以外は、テレワークを実践しています。
テレワークの頻度は週に1〜3日と、週によりバラバラです。「テレワークの日」を事前に設定していたわけでもなく、目的に応じて、生産性が高い場所を選択した結果、週に数日がテレワークになっただけだったからです。
こう書いていくと、自律性を尊重し、この働き方を容認してくれていた会社と上司に感謝ですね。海外では普通でも、日本でこんな柔軟な働き方ができる環境はなかなかないと思います。ちなみに、コロナ禍の今は、月に1、2回、出社(あるいは客先直行)するぐらいです。
そして今、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、テレワークを認める企業が増加しました。この働き方が定着するかと思った一方、緊急事態宣言が解除された「アフターコロナ/ウィズコロナの時代になると、テレワークが「流行る/流行らない」の議論が起こっています。
この議論に筆者は、非常に違和感を感じています。「流行る/流行らない」ではなく、「新たな働き方を多くの人が経験したのだから、それを実行すればいいだけ」と考えるからです。