• Column
  • ネットワークから見たDXの違和感

オフィス業務がテレワークで実施できない理由への違和感【第2回】

能地 將博(日本アバイア ビジネスデベロップメントマネージャ)
2020年10月8日

非対面コミュニケーションツールの効果はほぼ同じ

 メールや電話などの非対面コミュニケーションツールは、テレワークにおいても、ツールはそのままに、ほぼ同じ効果が得られます。

メール

 特にメールは、クラウド化されていれば、違いを意識することなく、どこからでもアクセスできます。クラウド化されていなくても、VPN(仮想私設網)環境があれば、データセンターやオフィスに設置されているメールサーバーにアクセスできます。

 テレワークで生産性が異なる場合は、ツールを使う環境への依存が考えられます。すなわち、ネットワーク速度やデスク環境です。筆者の場合、自宅に個室があり、ネットワーク速度もそれなりのため、人の会話が聞こえるオフィスより生産性は、むしろ高いと言えます。複雑な英語のメールを読んでいるときでも、他人の電話の声が気になることもありません。

 逆にリビングで仕事をせざるを得ないという場合は、オフィスの方が何倍も快適で生産性が高いことでしょう。テレワークの生産性を考える際には、こうしたネットワークを含めた作業環境も確認する必要があります。

電話

 一方の電話についても、現在ではほぼIP(Internet Protocol)化されていると思われるので、個々人へのダイヤルイン(直通電話)方式で番号を計画・運用していれば、スマートフォン用アプリケーションからもオフィスの電話番号での発着信が可能です。あるいは既に、「オフィス電話はなく、携帯電話しか使ってない」という方もいるかもしれません。この場合は、使い方や効果は、ほぼ同じです。

 しかし、グループ番号を使っている場合は、この限りではありません。取り次ぎ作業が発生するため、誰かが電話番としてオフィスにいなければならないかもしれません。取り次がれた方も、発信は個人の携帯からになるかもしれません。その場合は細かなことですが、通話料をどう負担するかなどのルールが必要になりますし、その精算に余計な工数がかかってしまいます。

 いずれにせよ、グループ番号は生産性の観点ではダイヤルインに劣ることは間違いありません。意外に思われるかもしれませんが、グループ番号をメインで使用しているのは、日本など数カ国だけで、その他の国にはない発想です。コロナ禍を機会に見直しの対象の1つかもしれません。

ビデオ会議

 ビデオ会議はどうでしょうか。最近は打ち合わせなどに多くの方が経験しているので説明は不要でしょう。音声入力などをクリアしてしまえば、あとは開始時間に指定されたURLにアクセスするだけで、直ぐに打ち合せが開始できます。方法は全く変わってしまいますが、打ち合わせ自体は可能です。

 画面共有やホワイトボードの機能を使えば、オフィスの会議室で行うミーティングと同等のことができます(マウスで字を書くのは大変ですが)。

チャット

 上司や先輩、あるいは他部署の詳しい人に「ちょっと相談」「ちょっと教えて」と思う場面もあるでしょう。リモートでも、チャットツールを使えば気軽に相談できます。相手のプレゼンス(対応可能かどうか、電話中かなど)がわかるので、状況を把握しながらコンタクトできます。少々複雑な相談であれば、「今、電話いいですか?」と聞き、「OK」なら、そこから電話での相談に移行できます。

 筆者の場合、外資系勤務のため、たまに全く知らない外国のメンバーからチャットが来たりすることがあります。離れている人でも気軽にコンタクトできるという点では、対面よりも応用範囲は広くなります。オフィスとは、やり方は異なりますが、「知らないことを教えてもらう」ことに対する効果と生産性は、同等と考えて良いのではないでしょうか。

画面共有

 「ちょっとこれ見てください」は「ちょっと相談」の発展形です。資料やPC画面を見せながら、相談に乗ってもらうこともあるでしょう。そんなケースです。

 これは画面共有機能で対応できます。ビデオ会議やチャットに付随している機能ですが、この機能がクラウド化されたことで、社外の人とも「ちょっとこれ見て下さい」と画面共有ができるようになりました。資料を見てもらうために、わざわざ移動したり紙を配付したりする必要がないので、オフィスよりも効果や生産性は高いとも言えます。

回覧/掲示板

 最後に、回覧/掲示板です。これは、資料をメールや社内ポータルに添付することで代用が可能です。そもそもオフィスにおいても、紙の資料を回覧/掲示板表示している企業は今や少数ではないでしょうか。すでに同様の方法を採られているかもしれません。