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  • ネットワークから見たDXの違和感

オフィス業務がテレワークで実施できない理由への違和感【第2回】

能地 將博(日本アバイア ビジネスデベロップメントマネージャ)
2020年10月8日

メールと電話以外のコラボレーションツールが必要に

 以上のように、コラボレーション業務のほとんどはITツールで代用できます。メールについては、すでにほとんどの企業がリモートから接続できる環境を構築済みでしょう。電話も、携帯電話があるので、ダイヤルイン方式でなくてもなんとかやりくりできると思います。

 問題は、メールと電話以外のコラボレーション業務です。上記で説明したITツールが未導入の企業もあるかもしれませんが、こられの全機能は「コラボレーションツール」や「ビジネスチャット」と呼ばれるカテゴリーの製品群で容易に実現できます(図2)。有名どころで言えば、「Slack」「Microsoft Teams」「LINE Works」などです。筆者が務める会社でも「Avaya Spaces」を提供しています。

図2:コラボレーションツールが提供する主な機能の例

 これらのほとんどがクラウドに対応しているため、ソフトウェアをインストールすることなく利用できます。チャットと掲示板、ポータル、ビデオ会議、画面共有までの機能が、1人当たり月額500から1000円で使えます。

 コラボレーションのための機能は、全社員に1アカウントを用意しなければ効果を発揮しませんが、月額利用料は客先でのミーティングに1度訪れるための交通費程度です。費用対効果は非常に高いと言えます。多くのサービスが無料トライアル期間を設けているので、試してみるのもいいでしょう。

デスクワーク業務のテレワーク実現法

 デスクワーク業務は多岐に渡るため一般化は難しいのですが、いずれにせよ自分のPC上でなんらかの作業や処理を行う業務です。その際、サーバーや共有フォルダ、データベース、アプリケーションにアクセスし、データを参照できなければなりません。

 これらのアクセスをテレワークで可能にするのが、VPNでありクラウドです。ネットワークがあればアクセスできます。セキュリティを考慮し、リモートデスクトップやVDI(Virtual Desktop Infrastructure)という選択肢もあるでしょう。

 これらの環境が実現・整備されていないと、テレワークでオフィスと同等の作業や処理を行うのは難しいと言えます。セキュリティにも関わるだけに、現行システムの移行やリモート対応は費用も相応にかかり、検討や準備に時間を要します。

 当然ですが、リモートアクセス環境を整えるだけでなく、アクセス対象となる資料などがデジタル化されていなければなりません。こればテレワーク、ひいてはDX(デジタルトランスフォーメーション)の要だと言えます。

 このリモートアクセス環境が既に整っている会社であれば、デスクワーク業務は、オフィスであろうとテレワークであろうと、その効果・生産性は同じと言えます。ただし、ここでも、メールや電話と同様に、ネットワークや作業場所の環境への依存部分はあります。

 次回は、これらのコミュニケーション業務/デスクワーク業務のためのリモート接続環境が実現されていることを前提に、テレワークに向いている業務や用途を考えてみます。

能地 將博(のうち・まさひろ)

日本アバイア パートナー営業本部 ビジネスデベロップメントマネージャ。早稲田大学卒業後、大手独立系SI企業に入社。その後、外資系IT企業のプロダクトマネージャ、マーケティングマネージャを歴任し、2008年より日本アバイアに勤務