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- ネットワークから見たDXの違和感
オフィス業務がテレワークで実施できない理由への違和感【第2回】
前回、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大に伴い「テレワーク」が“流行る/流行らない”で話題になっていることへの違和感から、その背景を調べてみました。結果、会社など組織の方針がテレワークへのバイアスを生んでいるとの考えに至りました。今回は、テレワークを実施するための具体的な方法を考えてみましょう。
コロナ禍になり筆者は、ほとんど出社していません。筆者だけではなく、日本アバイアに勤務する100人弱の社員は、2020年2月末からテレワークにシフトしています。報道によれば、日本マイクロソフトでも「緊急事態宣言以前に本社への出社率が1.7%になった」ようですので、外資系企業の多くは、同じような状況かもしれません。
ただ最近は、富士通や日立製作所など日本のIT企業も基本、テレワークにシフトしています。IT企業だけでなく、ホンダもテレワークに対応するとニュースにありました。製造業の最たる自動車産業に属するホンダがです。ただ、その対象は、テレワークが可能な本社や研究所、工場の事務系社員に限られてはいます。
テレワークに移行するオフィス業務の中身
テレワークでは、オフィスに勤務しているのと同様の仕事や業務に取り組むはずです。典型的なオフィースワーカーの業務内容は、時間配分の違いはあれ、おおむね図1のようなものでしょう。
これら業務をカテゴライズしてみると大きく(1)コレボレーション業務と(2)デスクワーク業務に分類できます。コラボレーション業務は、メールや電話、会議など“人とコミュニケーションしながら”進める仕事。デスクワーク業務は“1人で取り組む”処理や作業などです。
ただメールや電話の行為自体は、オフィスにおいてもツールを使って“1人”で実行しているので、コミュニケーションとはいえデスクワーク業務と定義すべきかもしれません。
逆にデスクワーク業務とした処理や作業も、1人で行っていても不明な点や未知な事柄に遭遇した際は、誰かに教えてもらうこともあります。そう考えれば、デスク業務においてもコミュニケーションができることが重要な要素なのかもしれません。作業を進めるには、書類や資料が必要になることが往々にしてあるだけに、それらアクセスできることも必須条件になります。
このようにオフィスでの業務を見直してみると、それは「社内リソースにアクセスしながら、デスクワーク業務とともに、直接・間接にコラボレーション業務を遂行している」と言えます。
さらに突き詰めれば、「社内リソースへのアクセスとコラボレーションが実現できれば、物理的には業務を遂行できる」とも考えられます。そうなれば、自宅やオフィスなどの“場所”にこだわる理由がなくなってきます。
当然、効果や生産性は異ってくるとは思いますが、物理的に「できる」「できない」で判断すれば、「オフィスワーカーの業務はテレワークで十分に行える」ことになります。では、生産性を含めたテレワーク環境は、どのように実現させれば良いのでしょうか。以下では、筆者の見解を述べます。