• Column
  • ネットワークから見たDXの違和感

テレワークに不向きな業務を強調することへの違和感【第3回】

能地 將博(日本アバイア ビジネスデベロップメントマネージャ)
2020年10月22日

ゴールを探る会議はビデオ会議では難しい?

 テレワークで使用するビデオ会議は、スキルの高低に関わらず、少人数(1~6人程度)での実施は最適ばかりとは言えません。内容によるからです。

 筆者は以前は、テレワークでも、ビデオ会議と画面共有があれば、オフィスや客先での打ち合わせと同等の効果と生産性が得られると考えていました。コロナ以前から遠隔地のパートナー企業さんとはビデオ会議を使って打ち合わせをしていたからです。

 しかし最近、本サイトの編集長、志度さんとの会話で、それが間違いだったことに気づかされました。志度編集長いわく「ビデオ会議では、初めて会う人とのインタビューなどでは、話題の深堀りがなかなか難しい。今、能地さんが“ぽろっ”と言われた件について『そこを、もっと聞きたい』と思っても、本題とはズレていると、ちょっと躊躇してしまう」とのこと。

 つまりこういうことだと思います。コミュニケーションゴール(ビデオ会議の目的と同義)が明確であれば、ビデオ会議でも対面と同様の効果を得やすいのです。参加者全員が現状の進捗や課題を共有し、次のアクションなどを決定するという目的をもって会議に参加しているからです。「Weekly Meeting」や「新製品ラウンチミーティング」など会議予約の際に名称を容易に付けられる会議がこれに当たります。

 しかし、コミュニケーションゴールが、どこにいくかわからない場合(コミュニケーションゴールが設定されていない場合)は、”場”を共有できる対面の方がより適しているのでしょう。直接会うことで、ノンバーバルコミュニケーションを含む多くの情報を共有することで、親密感や連帯感を醸成することができるからです。

 インタビュー含め、近況報告の営業訪問(そこから何か新しいビジネスチャンスがでる可能性に期待)、上司と部下の1on1ミーティング(ビジネスライクなものはビデオ会議でも、もちろん可能。よりフランクな将来の目標などのトピックの場合)は、できたら対面で実施するほうがいいのでしょう。

音かぶりなどはビデオ会議システムの限界

 ビデオ会議の場合は、周りが見えないため、どうしても音かぶり(他の人と会話がかぶってしまうこと)が発生してしまいます。そのためテンポや調子が狂ってしまうこともあります。コミュニケーションゴールが明確な場合は、この制約を理解し、音かぶりが発生しても“さらっと”それを流して、打ち合わせを進行できます。

 しかし、ゴールが明確でない場合は、それにより、会話が弾まなくなってしまうことがあるかもしれません。会話にはリズムが重要です。会話の流れに乗り、テンポよく発言しようと思ったのに、音かぶりが発生。発言を止め、他の人の発言が止まったことを確認してから発言したら、また音かぶり。このような状況は結構頻繁に発生します。

 そのことで、盛り上がっていた議論が急にしぼんでしまうこともあります。あくまで気持ちの問題なのですが、コミュニケーションでは内容以上にエモーショナルな部分が重要なときもあります。コミュニケーションゴールが明確でない時の方が、この傾向は強くなります。この点においても、コミュニケーションゴールが明確でない打ち合わせは、ビデオ会議には、あまり向かないのかもしれません。

 これらはテレワークの限界というより、ビデオ会議の限界ではあります。ですが、テレワークにおいてコラボレーションができるかどうかは重要な要素であるだけに、考慮しておいたほうが良いでしょう。

 最後に、人数が多い複数人のコミュニケーションです。これはセミナーやトレーニングなどのワンウェイ(一方通行)の講義、あるいはファシリテーター的な役割の人が議事進行をしながら説明者の話を聞くような、よりフォーマルな会議が該当します。

 たいていの場合、説明の最後に質疑応答の時間を設けています。説明中の参加者による質問や発言はあまり想定されていません。ビデオ会議を経験された多くの方は、「全然、問題ない」と、リアルな講義などと、ほぼ同様の効果が得られることを実感されていることでしょう。長時間の受講は苦痛といった点や、その”場”で他の受講者の緊張感を感じられないといった点を除けば、移動に伴う時間的・費用的コストを考えるとメリットの方が大きいかもしれません。

 前回と今回で、テレワークを実施するためのテクノロジーと、その用途について考察してみました。コロナウイルスにより、否応なしに実施したテレワークですが、ITツールを使い、やり方を決め、適切に運用すれば、生産性を高める効率的な働き方になります。テレワークの有効性と限界を正しく理解することがDXにつながっていきます。

能地 將博(のうち・まさひろ)

日本アバイア パートナー営業本部 ビジネスデベロップメントマネージャ。早稲田大学卒業後、大手独立系SI企業に入社。その後、外資系IT企業のプロダクトマネージャ、マーケティングマネージャを歴任し、2008年より日本アバイアに勤務