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音声対話の基本である「電話」を見直さない違和感【第7回】
グループ代表番号は非効率・非生産的
グループ代表番号方式による運用は、第2回でも触れたように日本固有のものです。海外では一部を除けばダイヤルイン番号方式による運用が一般的です。
電話システムの機能としては、グループ番号機能も当然サポートされています。ただそれは、A社にもある不特定多数からの電話を受ける部署や、弁護士事務所などの士業で外線にフィルタを設けたい業種など、明確な意図をもってグループ代表番号を使用したい顧客や部署用です。
そうした会社や部署でも、担当顧客が決まっているB2B(企業間)の営業職や、内勤者、間接部門のスタッフにはダイヤルイン番号が割り当てられています。
その理由は明快で、グループ代表番号は非効率・非生産的だからです。電話番が最たる例です。電話番になった人は、用件やコールバックのための電話番号をメモし、それを他の人に伝えなければなりません。転送する場合も同様で、代理応答という無駄な業務が発生します。
発信者にとっても、電話番と話したところで用件は果たせません。タイムリーに用件を果たすために「電話」というコミュニケーション手段を選択したにも関わらず、その目的が達せられないのです。ボイスメールや留守番電話にボイスメモを残すのとなんら変わりはありません。
外資系企業では、オフィスで他人宛ての電話が鳴っていても取らないのがルールです。同僚の不在時に、親切心から同僚宛ての電話を取ったケースを改めて思い起こしてください。
同僚と発信者の間で進められている個別事項について、あなたが知っている可能性は少なく、その場で発信者の用件を果たせないことのほう多はずです。そのため、発信者名やコールバック番号、用件をメモし同僚の机に置くことになります。
ところが同僚が帰社せず、そのメモに気づくのは翌日、悪くすれば、さらに先になる場合すらあります。発信者とは「コールバックが来ない」とトラブルにもなりかねません。仕方なく用件を伝えるために同僚の携帯に電話してみるも「ただいま電話にでられません。発信音のあとに・・・」と留守番電が応答するばかり。こんな経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
同僚宛の電話は無視するのが賢明です。急ぎであれば発信者は「至急、コールバックしてほしい」などのメッセージをボイスメールに残すでしょう。不在着信履歴に同僚が気づけば同僚自らがコールバックするはずです。代理応答という価値を産まない作業のために自分の仕事を中断する必要もなくなります。
B社が得意とする仕事がA社に回ってきたということからすると、B社においても「担当者との電話連絡がスムーズに行かなかった」ことがあったようです。理由は不明ですが、電話番とのやり取りに齟齬があったのかもしれません。人が介在すると余計なプロセスが発生するだけに、こうしたトラブルも発生しかねないのです。
ダイヤルイン番号を社員全員に提供すれば、通信キャリアへ支払う基本料金は増加します。しかし、その金額は1番号当たり月に数百円程度です。無駄な代理応答による生産性の低下、コミュニケーションミスによる機会損失を考慮すれば、すぐに元がとれる金額です。20年以上、外資系に勤務している筆者にとっては、日系企業でグループ代表番号がまだまだメインで使用されていることは不思議でしかありません