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都市のデジタルツイン「Project PLATEAU」に見る3D都市モデルの可能性【第4回】

藤井 篤之、増田 暁仁(アクセンチュア ビジネス コンサルティング本部)
2021年11月24日

日本の3D都市モデル基盤となる「Project PLATEAU」

 日本でも、CityGMLに準拠した3D都市モデルの活用を目指すプロジェクトが立ち上がっている。国土交通省が主導し、3D都市モデルの整備活用・オープンデータ化事業として2020年4月にスタートした「Project PLATEAU」(プロジェクト プラトー)だ。

 Project PLATEAUは、“まちづくりのDX(デジタルトランスフォーメーション)”を推進するプロジェクトである。日本全国の3D都市モデルを整備し、それを活用した都市計画・まちづくり・防災・都市サービス創出の実現を目指す。Project PLATEAUの意義を国交省は次のように説明する。

 「これまで都市の情報は各セクターで分断され、得られる情報に限界があった。しかし、これからの時代、同じやり方では変化のスピードに追いつけなくなる。社会にあふれる課題を解決して都市のポテンシャルを最大限に引き出すには、都市の情報を分野横断的に統合・可視化し、都市経営のDXを進める必要がある」

 Project PLATEAUの最大の価値は、3D都市モデルをオープンデータとして公開することだ。デジタルツインとして構築された都市空間に様々な情報レイヤーを重ね合わせることで、あらゆる知見を集積させたオープンなプラットフォームとして誰でもが利用できるようにする。

 2021年4月までに、プロジェクトで整備した各種データセットがオープンデータとして公開されている。3D都市モデルを活用したまちづくりのDXや課題解決型のイノベーションを実現できるよう、都市計画基礎調査などの属性情報を保有する地方自治体と調整しながらオープン化できる情報を選別した。二次利用も可能にすることで、様々な分野における研究開発や商用利用の促進を目指している。

 Project PLATEAUの3D都市モデルは、Webアプリケーションとして公開されている「PLATEAU VIEW」で確認できる。その見た目は一見Google Earthの商用3D地図と大差がないように感じる。だが、CityGML準拠のセマンティックモデルとジオメトリモデルが上手く融合されている。都市空間を立体的に認識できるという視覚性・視認性が、都市計画の説得力を高めるのもProject PLATEAUの大きな価値の1つだといえるだろう(図2)。

図2:Project PLATEAUでは、多様なデータを組み合わせて都市単位のシミュレーションを可能にする(出所:スマートシティ官民連携プラットフォーム「3D都市モデルの整備・活用促進に関する検討分科会」の第1回議事資料)