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スマートシティを後押しする“地域協働型教育環境”の整備が急務に【第15回】
会津若松市が取り組む地域に貢献する人材の育成方法
スマートシティの取り組みにおいて、見逃せない役割を果たすのが「教育」である。教育をデジタル化するだけでなく、スマートシティの街づくりに携わる次世代の人材育成にも関わってくるからだ。今回は、会津若松市のスマートシティプロジェクトにおいて地域が“協働”して取り組む教育支援の具体的な取り組みを紹介し、スマートシティにおける教育環境について解説する。
少子高齢化の進行などで社会環境が劇的に変化すると同時に、デジタル技術の高度化により産業構造や雇用スタイルが大きく変わりつつある。それに伴って、求められる人材や必要なスキルも変化し、個々人に合った教育環境の整備が急務になっている。
一方で、所得格差によって教育格差が生じたり、学習内容の多様化に伴って教職員の負荷が高まったりしているのが現状だ。特に地方では、過疎地を中心に少子化が著しく、地域のコミュニティ機能を担っていた小中学校の統廃合が進み、その結果、地域が持つべき力の低下にもつながっている。
学習方法についても、これまでの知識や基礎学力の習得よりも、個人の嗜好性や能力に応じた、課題を発見・解決する力やコラボレーションのための能力と技術を身につけることが重要だと考えられるようにもなってきた。
会津若松ではまちづくりに寄与する高度人材育成から着手
会津若松市でのスマートシティプロジェクトではこれまで、街づくりに寄与する高度なアナリティクス人材の育成に取り組んできた。公立会津大学に多種多様な先端プログラムを導入したり外部講師を積極的に登用したりすることで大学における人材育成のレベルアップを図っている。
また、次世代の開発拠点となるICTオフィス「スマートシティAiCT(アイクト)」を設置し、グローバル企業やベンチャー企業などを誘致し、新規雇用を創出するという取り組みも進めてきた。
結果、データ分析やセキュリティ、ロボティクスなどのデジタル人材を3000人以上育成してきた。さらには、会津若松市への転入者や移住者が増加するなど、新たな経済効果をも創出できている。
その延長線上で今、会津若松スマートシティが注力しているのが、教育・子育ての領域での取り組みである。安心して出産・育児ができるサービスを拡充し、時代のニーズに合った“学びの場”を提供することで、出生率向上や転出率低減、人口増に寄与すること目指す。
具体的には、個人の学力や志向性に合った学習環境の整備、グローバル化や情報化が進む社会の最前線で活躍するための“きっかけ”づくり、“心穏やか”で“健やか”に育つための地域連携セーフティネットの構築などである。