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既存ツールの活用やルールを見直し、リモートワークでもアジャイル開発を可能に〔PR〕

(ほぼ)完全リモートワーク環境下での効率的なアプリケーション開発について

DIGITAL X 編集部
2021年1月27日

(2)スクラムイベント:既存のアジャイルツールを応用しリモート作業にも適応

 改善ポイントの2つめは、「スプリント期間中の各種スクラムイベント」だ。アジャイル開発ではスプリントと呼ぶ開発期間内に、確認や共有、評価のためのスクラムイベントを繰り返す。本来は1カ所に全員が集まって開くイベントをリモートで実現するために、既存ツールの特性を活かす工夫をした。

 「会議はZoomやMicrosoft Teamsの画面共有と音声通話機能を使って、必要なメンバーが全員出席できるようにしました。スプリントプランニングやデイリースクラムのタスク管理には、プロジェクト追跡ソフトウェアの『Jira』を、レトロスペクティブには『Miro』というオンラインホワイトボードのツールを、それぞれ利用しました」(内堀氏)

 Zoomによるスプリントプランニングでは、メンバー全員がZoomの画面に入り、その上でスクラムマスターがJiraの画面を共有し、バックログのタスクを1件ずつ確認しながら進めていった(図1)。同社ではコロナ禍以前からJiraを活用していたこともあり、「非常にスムーズに移行できた」(内堀氏)という。

図1:スプリントプランニングでは、Jira(左)とZoom(右)を組み合わせて会議を進めた

 もう1つのツールのMiroは、付箋や、振り返り手法の「KPT」のための表示枠を持ち、複数メンバーが同時に編集できる。操作も、実際に付箋をホワイトボードに貼っていくことで、似た発言をひとくくりに整理したり、異なる話題同士を関連づけたりが可能だ(図2)。

図2:Miroの画面例。画面上で実際のホワイトボードのような情報の整理が視覚的に行える

 内堀氏は「アジャイル関連ツールの中でもConfluenceなどと比べると、利用者は少ないかもしれませんが、使い勝手が良く重宝しました」と評価する。こうしたツールを組み合わせることで、「オンラインでも着実に作業を進められました」(同)と成果を語る。

(3)スクラム以外の開発作業:仕事外の話ができる場作りで安心&快適に働ける環境に

 改善ポイントの3つめが、「各種スクラムイベント外の日々の開発作業」だ。例えば、対面なら気軽に話せる相談事や、対面でないと難しい議論をする場がなくなってしまった。お互いに別の場所にいるため、何か尋ねようにも相手がPCの前にいるのか、休憩中なのかがわからない。ここでも、「既存のツールをうまく活用して切り抜けることができました」と内堀氏は明かす。

 まず、オンラインでのコミュケーションルールの再定義から始めた。「軽い相談には『Slack』で専用のスレッドを作成し、そこにみんなが回答を書き込むようにしました。常時オープンのZoomチャンネルを起ち上げ、議論がしたい場合はそこで議論できるようにもしました。重たい議論では、Zoomで会話しながらConfluenceや『Lucid chart』というクラウド作図サービスを併用しました」(内堀氏)

 メンバーの在席状況を共有するルールも設けた。原則として打ち合わせがない時間帯は、常時オープンのZoomチャンネルにログイン。お昼などの休憩で離席する場合は、Slackの勤怠専用チャンネルにその旨をポストするという決まりである。

 これらのほかにも、いくつかのルールを徹底した。「雑談がなく、息抜きや新しい人の人柄を知る機会がない」という声には、定期のスクラムイベント内で1日1回、あえて業務に関係ない話題を話す。Slackで雑談チャンネルを作り、仕事以外の話をする。自宅にいて働き過ぎてしまう懸念には、原則としてデイリーで決めたスコープ内でしか作業しない。毎朝Slackで勤務時間帯を宣言し、終業時に「退勤宣言」をしたら、それ以降はPCにログインしないなどだ。

 今回の取り組みを振り返って内堀氏は、「コロナ禍の影響は非常に大きいものです。ですが、既存のツールを活用し、リモートワークの環境下でも従来と変わらない手法で開発を進められることが確信できました。同様の課題改善に取り組もうと考えておられるなら、NTTデータにぜひ一度お問い合わせください」と呼びかけた。