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- デジタルで変わる組織―離れていても強いチームを作る
ビデオ会議で不透明さ増す現状把握を複数のツール導入で解消へ
リモートワーク環境におけるメタウォーターの業務の可視化、標準化
水・環境分野のエンジニアリング会社であるメタウォーター。コロナ禍以前から、生産性向上のためにITを活用した属人性や知見の囲い込みなどを排除してきた。リモートワークにも取り組み、各種業務の可視化・標準化を推進している。同社 IT企画部 情報革新グループの秋永 将俊 氏が「Digital X Day 2020 Online」に登壇し、取り組みの経緯や、そこで直面した課題や解決策などを解説した。
メタウォーターは、水・環境分野では国内初の機電一体型の会社だ。日本ガイシと富士電機の水環境部門が2008年4月に合併し誕生した。プラントエンジニアリング事業では2000以上の導入実績を持ち、米国やオランダなどに海外拠点を持つ。従業員数は約3000人である。
同社IT企画部 情報革新グループの秋永 将俊 氏は、「新型コロナウイルスが確認される以前から、ビデオ会議ツール「Google meet」や遠隔操作ツールを使った在宅勤務には取り組んでおり、テレワークのための環境を整備してきました」と話す。
リモートワークの普及で顕在化した「4つの課題」
ただテレワーク環境が整い在宅勤務が増えるほどに課題も表出するようになった。秋永氏は、次の4つを挙げる。
課題1 :複数拠点を結ぶビデオ会議での図の使いづらさ
課題2 :資料や図面への書き込みが困難なために出社する
課題3 :作業実績の報告・管理のための作業負担の増加
課題4 :業務の不透明性の増加
課題1と課題2の原因は、ビデオ会議中の図の扱いだ。会話では伝えきれない内容を図で示そうとしても、リアルな会議室では普通に使っているホワイトボードが使えず、情報共有が難しかった。
解決策として大型ディスプレイを持つ「Jamboard」(米Google製)を導入し、Google meetと併用するようにした。Jamboardは、PC、スマホ、タブレットから接続でき同時編集が可能なホワイトボード。ビデオ会議中はアプリを使って必要な図面などを共有できるようにした。
それでもPCなどの画面上では書き込みが難しい。そのため「原紙に書き込み、それをスキャンしたほうが早いと考え、書き込み作業のために出社する人が多かったのです」と秋永氏は話す。
解決策としては、タブレット「iPad」(米Apple製)を導入し、タッチペンで書き込みができるようにした。iPadはペーパレス会議や出張時のツールとしても活用されるようになり、Jamboardの利用促進にもつながっている。