- Column
- DXを推進するプロジェクトリーダーの勘所
DXに成功している組織が採っている傾向と対策とは【第2回】
前回、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に、つまずく理由として、既存の業務プロセスを置き換えるだけのITプロジェクトでは、ビジネス部門とIT部門の連携が希薄で、それが様々な副作用を起こしていることを紹介しました。一方で、DXに取り組み将来の成長力や競争力を強化している企業もあります。DXにつまずく企業・組織と成功する企業・組織では何が違っているのでしょうか。
第1回では、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進に向けては、ビジネス部門とIT部門が“ワンチーム”として取り組むことの重要性を指摘しました。従来のウォーターフォール型を主流とした開発体制のままでは、システムが部分最適になりビジネスケイパビリティを全社横断的に活用できないことや、ジョブローテーションやSIベンダー依存によるDX人材不足といったのなどの課題も挙げました。
そして、これら課題の解決策の1つとしてローコード/ノーコード開発を可能にする「DPA(Digital Process Automation Platform)」も紹介しました。「ビジネス部門+IT部門」のワンチームでDXを推進するためのコラボレーション環境になるためです。
システムと組織の課題解決に実績を持つDPA
DPAはシステム開発環境として、次のように利用できます。
例えば、DPAをレガシーシステムと連携すれば、システムの統合だけでなく、DPA上でレガシーシステムが持つデータを“部品”として扱えるようになります。部品化されたデータにAI(人工知能)技術を組み合わせることで、ビジネスプロセスを再利用しながら、ニーズに応じた組み立てや再構成が可能になります。
そこでは、ビジネス部門とIT部門の役割をより明確に切り分けられます。ビジネス部門に属するデータサイエンティストは、データからのインサイト(洞察)やAIモデルなどを構築し、各分野で作り上げたデジタル資産をDPA経由でビジネス部門に提供できます。IT部門は、インフラの構築・運用、インテグレーション、セキュリティなど組織共通のテクノロジー部分に集中できます。
ビジネス部門の担当者は、必要なアプリケーションをローコード/ノーコード開発機能を使って自ら開発できるほか、DPAが持つ機能を使ったITガバナンスやセキュリティの確保との両立が可能になるのです。
こう書くと夢のように思われるかもしれません。ですがDPAは、システムと組織の課題を解決において実績を持つ仕組みです。ただし、その価値を最大限享受するには、戦略的なイニシアチブとロードマップが必要です。
では、DXプロジェクトを推進するに当たり、成功している企業や組織は、DPAの利用方法を含め、どのように取り組んでいるのでしょうか。大手金融機関のA銀行における取り組みを紹介します。
成功のポイントを先に挙げれば、社内に散らばる優秀な人材や知見などのビジネスリソースを横断的に集約するCoE(Center of Excellence)の設立と、DPAの採用により、変化に素早く対応できるアジャイルな体制を作り上げることです。