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- 現場のリーダーが考えたDX人材像を示す「DXスキルツリー」
DX活動の流れには5つのステージがある【第2回】
前回、DX活動が求める人材像をまとめた「DXスキルツリー」の前提として、DX活動の流れについて説明しました。今回は、その流れを構成している5つのステージについて説明します。
第1回で、DX活動には、経営戦略の立案から、その戦略を実現するまでの大きな流れがあり、大きく5つのステージからなっていると説明しました。(1)構想ステージ、(2)価値PoCステージ、(3)技術PoCステージ、(4)開発ステージ、(5)運用ステージです(図1)。
今回は、これら5つのステージの意味と、そこでの活動内容を説明していきます。なお各ステージにおいて、重要な役割を果たす人材像が登場します。ですが今回は「そのような名称の人材が必要になるのだな」程度に理解していただければ十分です。各人材像については、次回以降に詳解していきます。
(1)構想ステージ
ニーズと技術をすり合わせてDXの実現性を検討します。DX活動は、ニーズを受け取るところから始まります。正確には、ニーズ起点以外に技術起点や事例起点もありますが、王道はやはり成し遂げたいことからスタートすることです。
ニーズの把握には「ニーズ分析・定義」が必要です。ニーズ分析に優れた「ビジネスアナリスト」と、その分野に詳しい「ドメインエキスパート」がコミュニケーションを図ることで、より本質に迫ります。
一方、定義された問題を解決するためには、普段から、デジタル技術を把握しておくことが重要です。「デジタルテクノロジーエキスパート」が社内外の現実的な手段を幅広くリサーチし、その引き出しをいつでも開けられるようにしていなくてはなりません。
ニーズ分析・定義ができれば、「原コンセプト構築」に移ります。定義された問題と候補技術からDX活動の大方針を考案します。この時点で、問題と解決手段は、もっともらしく整合していなければなりません。
世の中に解決手段がないような壮大な問題を設定しているケース、あるいは技術に寄りすぎて問題を矮小化しているようなケースが散見されます。いずれも、そのまま進んでもDX活動は失敗するか、大したインパクトを生み出せずに終わってしまいます。
(2)価値PoCステージ
今のコンセプトが価値をもたらすかを検証します。DX活動において、何より重要なステージになります。ここでは、「データサイエンティストやエンジニアを動かす前にやるべきことがある」ということを強く意識しなければなりません。
このステージから「ビジネスリーダー」が正式に参加します。UX(User Experience)デザイナーや、ユーザーの代表も呼ぶ必要があります。
価値PoCステージでの「コンセプト構築・要求定義」では、ビジネスリーダーが「なぜ」「何を」を納得するまで議論します。そのためには、ビジネスリーダーがDX活動を広義のプロダクトと捉え、プロダクトマネジメントを開始しなければなりません。
「実現価値PoC」では、このDX活動に意味があるのか、つまり完成後に価値を生み出せるのかを検証します。技術面の検証に先立つことに注意が必要です。
価値PoCステージで、ビジネスリーダーの納得感が100%に達する、つまり完成後にユーザーが喜び、会社に価値をもたらすことに確信が持てなければ、前のステージに戻ってコンセプトを再検討する必要があります。