- Column
- 製造DXの最前線、欧州企業が目指す“次の一手”
独VWグループ、Industry 4.0に沿う工場DX基盤「Industrial Cloud」構築でユースケースを横展開
独VWグループのフランク・ゲーラー氏と独ポルシェのマーク・ゲッケラー氏
変革を目指す企業が意識すべき6つのトピック
ゲーラー氏とゲッケラー氏は、まとめとして、変革の成功を目指す、すべての企業が意識すべきトピックとして以下の6つを挙げる。
トピック1:CEO(最高経営責任者)のサポート。
CEOのサポートが明確に伝われば「誰もが『はい、やります』と言える」(ゲーラー氏)からだ。Industrial Cloudでは、CEOのサポートが「VW側だけではなく、重要なパートナーであるAWSなどからも得られたため、コミットがとても明確になった」(同)という。
トピック2:生産と物流を一体にすること。
生産現場をデジタル化し、デジタル生産プラットフォームを構築するということは、プラットフォームだけではなく、ユースケースを横展開できるエコシステムを作ることも含む。ユースケースができれば、そのユースケースの共通点を見つけて標準化する。標準化したユースケースの数を増やしていけば、デジタル生産プラットフォーム上で利用できるサービスが増えていく。
トピック3:検証や実証におけるパートナー選びの重要性。
PoC(Proof of Concept:概念実証)や、最小限の仕様であるMVP(Minimum Viable Product)を開発する工程で、パートナーをどう選択するかはとても重要でなる。新しいユースケースを策定し物事を素早く確認したいのであれば、パートナーにもその意図を理解してもらう必要がある。
トピック4:IT部門、現場、物流、人事、法務、財務などの協力。
素晴らしいアイデアがあり有能な人材がいて、課題克服の必要性を誰もが理解している状況で協力し合あうことが重要である。そのためには縦割りをなくし、機能や部門横断的なチームでの作業が必要になる。
トピック5:チームへの権限移譲。
業務を革新したいなら、決断スピードは速いほうが良い。権限を移譲できれば、適切な権限でいろいろと決定できる。そのためにはチームにフルセットの権限を与え、仕事をし続けながら決定が下せるようにすべきだ。でなければ社内での議論やコミットメント活動で多くの時間が失われる。
トピック6:パートナーの選定など、重要なプロセスの決定に役立つ先行投資。
効果的な結果を得るには、適切なパートナーに参加してもらう必要がある。そのためにはパートナー選定に、時間をかける必要がある。例えばコンピュータービジョンなどを導入する場合、適切な技術を見つけるために投資すべきである。
これらへの取り組みについてゲーラー氏は、「長期にわたるプロジェクトはマラソンのようなものだ。作業をする中で日々、新しい発想や解決すべき問題に直面するだろう。適切なパートナーがいることが非常に重要だ」と指摘する。
なおIndustrial Cloudについては、専用のWebサイト「industrialcloudhub.com/」においても詳細が説明されている。
ゲーラー氏とゲッケラー氏による講演動画「独フォルクスワーゲングループにおけるIndustry 4.0に沿った工場のデジタル変革」をこちらで、ご覧頂けます。