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モーダルシフト(複合一貫)輸送に不可欠な無人搬送フォークリフト【第4回】

鈴木邦成(日本大学教授)、中村康久(ユーピーアール技術顧問)
2024年2月21日

トラックドライバー不足などへの対策として期待が高まるのがモーダルシフト(複合一貫輸送)です。トラックだけでなく、鉄道や船舶などを組み合わせて貨物を輸送します。その実現を支えるのが、荷物の積み替え効率を高める一貫パレチゼーションと無人搬送フォークリフトの導入です。今回は、無人搬送フォークリストを解説します。

 複数の輸送機関を利用して貨物を輸送する「モーダルシフト(複合一貫輸送)」への期待が高まっています。トラックよりもCO2排出量が少ない鉄道や船舶などに着目し、そこにトラック輸送の一部を切り替えます。当初は環境負荷の低減がメインテーマでしたが、昨今のトラックドライバー不足にも対応できるとみられています。

 現在、多くの企業の物流システムが、トラック輸送を前提に構築されています。物流拠点や店舗などへのアクセス性に優れるほか、宅配便などドア・ツー・ドアの輸配送にも欠かせないからです。モーダルシフトでは、トラックを完全に排除するのではなく、一部の輸送においてトラックから鉄道あるいは船舶へシフトします。

 船舶へのシフトではフェリー船などの活用が進んでいます。トラックドライバーは乗船せず、トラックだけをフェリー船に積み込み、帰着港で別のトラックドライバーが乗り込んで輸送するという選択肢もあります(図1)。船舶自体の無人運航に向けた実証実験などが進んでいます。例えば商船三井フェリーは、北海道苫小牧と茨城県大洗間で大型カーフェリーの無人運航の実証実験に成功しています。

図1:モーダルシフト輸送におけるフェリー航送のイメージ

荷物の積み替え効率を無人搬送フォークリフト(AGF)で高める

 他方、鉄道を基軸としたモーダルシフトでは、トラックごと積み込むのは現実的ではありません。コンテナ単位での積み替えのほかでは「一貫パレチゼーション」が推進されています。工場から物流センター、納品先までの全プロセスにおいて貨物もパレットに搭載する「パレット荷」として対応します。

 一貫パレチゼーションにおいて、その必要性が高まっているのが無人搬送フォークリフト(AGF:Automated Guided Forklift)です。トラックと鉄道間でのコンテナやパレットの積み替えに対し、貨物をプログラムに沿って無人で搬送できるフォークリフトを活用することで、省人化・無人化を実現し、人手不足を解消するのです。効率化やコストメリットを考えるうえでAGF導入は必然の流れだといえます。