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自動梱包機へのAI活用で自動化・ロボット化が加速【第16回】
物流センターにおいて作業員への負荷が大きい業務に包装•梱包作業があります。その効率を高めるため、物流機能の発達に合わせて、梱包機械が早くから開発・導入されています。その自動包機に対し、注目を集めているのがAI(人工知能)技術の利用や梱包ロボットの登場です。今回は、梱包作業のデジタル化について説明します。
梱包作業は腰への負担も大きく、時間もかかります。包装・梱包業務における機械化は1950年代(昭和30年代)から始まっており、これまでに種々の工夫がなされてきました。梱包業務の機械化には、(1)手動、(2)半自動、(3)自動の3段階が考えられます。
手動梱包機 :梱包対象の商品や段ボール箱などにPPバンドを手動で巻きつけるために利用する機械
半自動梱包機 :梱包対象の商品や段ボール箱などの梱包台へのセッティングとPPバンドの巻き始めまでは手作業とし、その後のPPバンドの巻き付けとバンドの余り部分を切断する
自動梱包機 :その種類は多様で、例えば自動搬送袋とじ機は、野菜などを袋に入れてセットすれば、袋のカットと結束、ベルトコンベアによる自動搬出までを機械が実行する
産業用ロボから派生した梱包ロボへの期待が高まる
自動梱包機の開発において近年、注目されているのがAI(人工知能)技術の利用です。機械学習機能などを搭載することで、梱包の自動化レベルを大きく高めるのが目的です。例えば、重い荷物は下部に軽い荷物は上部に集めたり、画像認識によって学習したパターンに沿って梱包したりと、機械的な作業では、なかなか実現できなかった梱包に細かく対応できるようにします。
自動梱包機のノウハウをAI技術でさらに深めることで登場してきたのが梱包ロボットです。産業用ロボットの派生系として、荷物を段ボール箱などの容器に迅速かつ正確に詰めていきます。アーム(腕)を持ち、人間同様の作業ができるタイプが有望視されています。
梱包ロボットの導入効果としては、例えば、梱包作業を夜間に回しロボットに対応させれば、人手不足の解消になり、人間の作業者やコストの削減が可能になります(図1)。安全性も高まり、人的作業ミスも防げます。
その際は、省人化を進める必要性からも梱包はパレット単位にします。また既に梱包ロボットの一種として、パレットへの荷物の積み付け(パレタイズ)/積み崩し(デパレタイズ)を自動化するパレタイズロボやデパレダイズロボが登場しています。
一般には、パレタイズよりデパレタイズのほうが難易度が高いとされ、加えて段ボール箱のサイズがバラバラだと対応が難しくなります。そこにAI技術を搭載することで、段ボール箱の形状などから積み付けパターンを指示できるモデルなどが登場しています。
例えば、筑波大学発のAIロボベンチャーであるCloserが開発するパレタイズロボ「Palletizy(パレタイジ―)」は、段ボール箱とパレットのサイズを入力すれば段構成を自動で生成する機能を搭載しています。
化粧品メーカーのファンケルは、同社の関西物流センターでパレタイザーとデパレタイザーを稼働させています。1台のロボットで、段ボール箱にも小型コンテナにも対応できるようAI技術を活用し、ロボット自らが自律的に学習し、想定外のワークやタスクが発生しても対応できる仕組みを実現しました。
そのためのアルゴリズムを開発・提供するMujinは、中国のEC(電子商取引)大手である京東商城の物流センターの完全無人化をサポートするほか、流通大手のイオンとも次世代自動化モデル構築のテクノロジーパートナーになっています。