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WHO:D2C事業の核にあるのは人。企業と顧客がダイレクトにつながるチームづくり【第2回】

堀田 顕人(電通デジタル コマースマーケティング部門コマースデザイン部第1グループ)
2024年3月4日

顧客をイメージし、直接・継続的なコミュニケーションをする。

 D2C事業では、流通・卸や小売店を介することなく、顧客に直接、製品/サービスを販売します。しかし、単に販売する・購入するというやり取りに留まらず、直接かつ継続的なコミュニケーションの中で購入してもらう必要があります。そのためには「顧客もD2Cブランドを一緒に創り出す1つのチームである」と考え、より効果的なコミュニケーションの構築が不可欠になります。

 顧客との関係は長期的であるべきで、顧客もチームの一員だと位置付け忠誠心(ロイヤリティ)を築くことがブランドの成功につながります。

 そのためには、(1)顧客中心のアプローチ、(2)カスタマーエンゲージメント、(3)カスタマーコミュニティの構築、(4)フィードバックの収集、(5)パーソナライゼーション、(6)透明性と信頼性を重視する必要があります。これらにより、積極的なコミュニケーションを通じた強固な関係を築かなければなりません(図2)。

図2:顧客と長期的な関係を結ぶために忠誠心(ロイヤリティ)を築く

顧客中心のアプローチ

 顧客のニーズ(Needs)とウオンツ(Wants)を理解しましょう。市場調査やアンケート、フィードバックの収集などを通じて顧客の声に耳を傾けます。そのうえで迅速かつ効果的な顧客サポートを提供し、問い合わせや問題に対応します。そのためには、メールやチャット、電話など多様なコミュニケーション手段を提供する必要があります。

カスタマーエンゲージメント

 ソーシャルメディアやメールマーケティングといったオンライン施策と、ファンイベントやコミュニティイベントといったオフライン施策を通じて、顧客と継続的なコミュニケーションを図ります。「限定・先行・優先」など顧客向けの特別なプロモーションや情報提供、製品の正しい使い方やメンテナンスに関する情報を提供し、顧客とのエンゲージメントを高めます。

カスタマーコミュニティの構築

 自社と顧客だけではなく、顧客同士が情報を共有し、商品/サービスについて意見交換ができるコミュニティを作成します。

 コミュニティへの企業の関与度合いは、企業が立ち上げから運営、ファシリテーションまでを担うパターンもあれば、立ち上げ後は顧客だけで自走するパターンなど、さまざまです。ですが、いずれにしても顧客が自発的に、かつ顧客どうしがコミュニケーションできる場所と機会を構築することが大切です。

フィードバックの収集

 顧客の声(VoC:Voice of Customer)を活用し、製品/サービスの品質を高めます。そのために、顧客からのフィードバックを積極的に収集し、改善点を特定します。フィードバックは、EC(電子商取引)サイトの問い合わせフォームやコンタクトセンターの設置などで常時、収集できる体制を構築します。

 収集したVoCは、顧客対応部署だけに留めず、商品の企画・開発やマーケティングなどの部署にも共有し、適切な改善につなげます。

パーソナライゼーション

 個別ニーズに対応するために、顧客ごとに適切な情報や商品/サービスを適切なタイミングと方法で提供します。顧客それぞれのニーズやウオンツを管理するためには、会員データの収集・管理基盤を構築します。

透明性と信頼性

 商品/サービスの情報や価格、納期、原材料、製造工程などに関する情報を顧客や社会に対して正確に提供することで信頼性を確保します。透明性のある返品・交換ポリシーを設定することで、顧客に安心感を提供します。