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  • D2Cビジネスを成功に導く「5W3H」を知る

WHO:D2C事業の核にあるのは人。企業と顧客がダイレクトにつながるチームづくり【第2回】

堀田 顕人(電通デジタル コマースマーケティング部門コマースデザイン部第1グループ)
2024年3月4日

前回は、顧客に製品/サービスを直接販売するD2C(Direct to Consumer:消費者直接取引)事業の概要を説明しました。そしてD2C事業の立ち上げに不可欠な「5W3H」があると指摘しました。今回から、その5W3Hについて、重要な順番で1つひとつ説明していきます。第2回は最も重要な「WHO」について説明します。

 読者の皆さんが、D2C(Direct to Consumer:消費者直接取引)事業立ち上げの責任者やリーダーに指名されたとして、その成功までは決して1人では成し遂げられません。社内の、さまざまな部署のメンバーや外部のパトナー、さらには顧客を含め、1つのチームを構築できるかどうかが鍵を握ります。D2C事業のための「5W3H」において最も重要なのは、何をするかよりも、D2C事業を成功に導けるだけの人材とチームです。

旗振り役と関係部署とが意思統一を図る

 メーカーが新たにD2Cブランドを立ち上げためには、さまざまな部署からの協力を得る必要があります。商品の企画・開発はもとより、マーケティングや広告宣伝、情報システム、法務、物流、顧客対応など、それまでの通常業務では接点が少ない部署との連携が不可欠です(図1)。

図1:D2Cブランドの立ち上げには、通常業務では接点が少ない部署間での連携が不可欠

 異なる部署との協力・連携において特に重要なのが、(1)チームビルディング、(2)共通の目標の設定、(3)コミュニケーションと透明性、(4)リスク管理です。これらが揃うことで、D2Cブランドを立ち上げる際の課題に対して、共同の解決策を見つけられるようになります。

チームビルディング

 まずはクロスファンクショナルなチームを形成します。関連する各部署から代表者を選び、コミュニケーションと業務協力を促します。各部署から複数人が参加する場合は、部署ごとにプロジェクトマネジャーを指名し、それそれが課題の進捗を追跡することでチームの意思決定を円滑にします。

共通の目標設定

 チーム全体がD2C事業を通じた共通の目標と成功基準を共有し、方向性を明確にします。D2Cブランドのビジョンステートメントと、ブランドの事業戦略や単年・中長期(3カ年程度)の数値目標を全員で理解します。

コミュニケーションと透明性

 定期的なミーティングや報告を通じて情報共有を強化し、部門間の透明性を確保します。プロジェクトの進捗状況や課題だけでなく、成功事例や得られた知識を共有し、社内にナレッジを蓄積します。

 より詳細なテーマについて議論が必要な場合は、参加部署やメンバーを絞り、分科会形式でミーティングを開催することで議論の密度を調整します。

リスク管理

 リスク要因を共有し、予測可能なリスクを軽減するための対策を講じます。同時に、予期せぬ問題に対応するための緊急対応計画を策定します。

 部署によって、リスクと感じることやその影響度が異なるため、自部署の視点だけではなく、他部署の視点も広く取り入れてD2C事業全体としてのリスクと、その影響範囲・影響度を把握し対応策を準備します。