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WHO:D2C事業の核にあるのは人。企業と顧客がダイレクトにつながるチームづくり【第2回】

堀田 顕人(電通デジタル コマースマーケティング部門コマースデザイン部第1グループ)
2024年3月4日

社内だけではなく外部パートナーとも協力する

 社内の各関係部署と協力しつつも、より高い専門性が必要な領域や社内リソースだけでは賄えない場合は、外部パートナーに依頼し協力を得ます(図3)。パートナーとも持続的な関係性を築ければ、D2Cブランド成長のサポートが期待できます。

図3:高い専門性が必要な領域や社内リソースだけでは賄えない場合は外部パートナーと連携を図る

 効果的なD2Cブランドの立ち上げに向けた外部パートナーとの連携では、次の要素を考慮する必要があります。(1)共通のビジョンと価値観、(2)専門性と経験、(3)透明性とコミュニケーション、(4)柔軟性と適応力、(5)法的事項と契約、(6)データセキュリティ、(7)持続可能性への取り組みです。

共通のビジョンと価値観

 社内の関連部署との連携と同じく、外部のパートナーともビジョンや価値観を共有することが重要です。ブランドメッセージや目標を伝え、それに共感してくれるパートナーを選びます。

専門性と経験

 D2C事業の立ち上げや成長に向けて、専門的な経験を持つパートナーを探し、ブランドの成功に寄与できる能力があるかどうかを確認します。専門分野は、デジタルマーケティングや、物流、ECシステムの構築・運用、商品の開発・製造など多岐にわたります。

 選定に当たっては、パートナー企業の規模やコストだけでなく、専門性や過去の実績から、その専門性や経験値を確認します。

透明性とコミュニケーション

 コミュニケーションは、円滑かつ透明性があるように準備します。プロジェクト管理ツールや、チャットなどのコミュニケーションツール、定期的なミーティングなどを活用し、社内と外部パートナーとの連携を強化します。

柔軟性と適応力

 パートナーには、変化に対応でき、柔軟性があり、迅速に適応できることが望まれます。D2C事業は計画どおりに成長しないことが多々あり、市場の変化や需要の急増に対応できる体制が求められます。決められたことしかできない、予定が変更されると受けられないなど、外部パートナーの考え方やスタンスを確認しておく必要があります。

法的事項と契約

 パートナーの役割や責任範囲、報酬、機密情報の取り扱いを明確にするためには、契約書を慎重に検討し、法的事項をクリアにします。D2C事業においてはプロジェクトが進行途中で変更されることがあるため、役割分担や責任範囲に変更が生じた際の変更管理手続きを設け、変更に関する同意や通知手順を確立します。

データセキュリティ

 顧客データや機密情報を相互に取り扱う必要がある場合は、データセキュリティを確保するための対策を共有し、信頼性を構築します。外部パートナーのセキュリティ体制やセキュリティポリシーに対し、自社が求める基準と比較し、法的事項や契約と合わせて確認します。

持続可能性への取り組み

 環境への影響や社会的な責任を考慮し、持続可能なビジネスを共に築けるパートナーを選定します。

 次回は、5W3Hのうちの「Why」、すなわち、なぜD2C事業を始めるのかといった事業戦略について説明します。

堀田顕人(ほった・あきと)

電通デジタル コマースマーケティング部門コマースデザイン部第1グループ。マーケティングやコミュニケーション領域を対象にしたプロジェクトマネジメント専門会社で不動産やスポーツマーケティングなど幅広い業界の大規模プロジェクトを経験。雑貨・文具プロダクトの事業会社ではブランドマネジメントから広報やEC運営、SNSなど集客からCRMまでのコミュニケーション全般における戦略立案・施策実施業務に従事。現在はD2C事業の立ち上げ・事業計画策定からサイト構築、グロース支援などを幅広く担当している。