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  • 製造DXの“今とこれから” 「Industrial Transformation Day 2024」より

プラントの稼働状況を示すデータの横断的な活用を可能にし運用効率を高める

「Industrial Transformation Day 2024」より、Cognite セールス ディレクターの浜ノ上 昇馬 氏

2024年5月8日

プラントのデータを活用するためのアプリケーションを提供

 プラントのAPM(設備パフォーマンス管理)の実現に向けCognite Data Fusionが提供する領域は、(1)設備の信頼性とヘルスモニタリング、(2)保守計画と最適化、(3)現場から効率的なデータ取得と現場作業支援の3つ。そのために「Cognite Charts」と「Industrial Canvas」を提供する。

Cognite Charts :運転データの確認用Webアプリケーション。機器のタグや図面上の設備をクリックすれば運転データを取得し、時系列に表示できる。複雑な作業における計算をノーコードで指示でき、結果を監視しアラートを出せる。

図3:運転データを確認するための「Cognite Charts」の画面例

Industrial Canvas :設備情報に関連する全てのデータを可視化し、関係者間での協業をうながすアプリケーション。Cognite Data Fusionが持つ種々のデータから因果関係を調べるなどトラブルシューティングに利用できる。キャンバス内では関係者間でのチャット機能も提供する。

図4:設備の情報を可視化・共有する「Industrial Canvas」の画面例

 オプションとして「InField」「Maintain」「InRobot」といった産業界に特化したアプリケーションも用意する。

InField :現場の点検作業を支援するアプリケーション。現場作業員の業務効率を高める。

Maintain :メンテナンスやバックログの優先順位付けと実行、シャットダウン業務の最適化、作業準備などを支援する。

InRobot :現場の点検作業などをロボットに代替させるためのアプリケーション。検査ルートと検査頻度を設定すれば、Cognite Data Fusionが持つデータを元にロボットが検査業務を実行する。日本では「導入を検討あるいは導入済みの顧客企業が増えている」(浜ノ上氏)という。

コスモ石油や東京ガスなどが業務改革やロボット活用などに利用

 Cognite Data Fusionの機能を有効活用している企業の代表例として浜ノ上氏はコスモ石油を挙げる。製油所の稼働率や業務効率を高めるためにCognite Data Fusionを導入。「デジタルツインによるプラントの状況確認のほか、過去のデータも横断的に見られるようになったことで意思決定のスピードが高まった」(CogniteのYouTube チャンネルの事例動画)とする。

 コスモ石油は、設備の状態監視や保全計画の策定をリモートワークで実行するなど働き方改革のほか、ドローンや点検ロボット技術などを使って設備の不具合といったリスクの最小化にも取り組んでいる。

 ロボットの活用では、東京ガスもCognite Data Fusionを導入している。プラント内でロボットを実際に歩行させ、日常点検に必要なデータを採取することで人による作業を代替する実証実験を実施した。

 浜ノ上氏は、「Cognite Data Fusionは単にデータを集約し関連付け、可視化するための仕組みではない。データ活用を容易にし、顧客の課題を解決するアプリケーションを構築するための基盤である。製品の提供にとどまらず、顧客企業の課題解決に共に取り組んでいきたい」と力を込める。

お問い合わせ先

Cognite

https://www.cognite.com/ja-jp/