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JCOM、VoC全社活用とデジタルヒューマンの顧客接点創出をAI-CoEが支える

「CX Day 2026」より、DXデザイン本部/AI-CoEの鎌田幹生 氏

かのう よしこ
2026年9月16日

デジタルヒューマンで新たなVoCを拾う

 JCOMは、AIエージェント技術を使う「デジタルヒューマン」を、新たな顧客接点とすべく展開を目指している(図2)。鎌田氏は「シニアの顧客層も多い弊社だが、現在のシニア世代はデジタルチャネルの活用も一般的になっている。こうした新しいUI(User Interface)/UX(User Experience)技術を用いることで、顧客体験(CX:Customer Experience)をさらに高めることにつながるのではないかと考える」として検証を進めている。

図2:デジタルヒューマンを使うUI/UX向上の検証内容

 検証環境では、しぐさや表情が変化する3D(3次元)アバターが、音声とテキストの両方で対話に応じて、JCOMが提供する番組コンテンツの検索や紹介を担う。併せて、限りある人的リソースに頼るだけでは実現が難しい「24時間対応や待ち時間の削減、多言語対応、説明品質の均一化や視覚的な案内の実現なども視野に入れる」(鎌田氏)

 これまでもJCOMは、問い合わせ窓口としてフォーム入力やチャットツールなど複数の対応チャネルを用意してきた。ただしこれらの文字入力を伴うチャネルでは「一定の言語化スキルや入力へのハードルを越える必要がある」(鎌田氏)のも事実だ。その解消に期待するデジタルヒューマンでは「音声認識と対話のやり取りを組み合わせることで、問い合わせのハードルを下げたい」(同)狙いだ。

 実際の検証結果では、20〜40代よりも50代以上の年齢層から積極的な利用意向が示されたという。近年国内でも普及が進む音声入力の利用率についても、最も使い慣れた20代が首位であった一方「30〜40代よりも50代以上の層で利用率が高いという結果が出た。この結果に鎌田氏は「対話型UIへの期待や可能性裏付けている」と分析する。

 デジタルヒューマンを介した会話ログの分析では「当初の話題から別の話題へと自然に移行する傾向も見えてきた」と鎌田氏は説明する。そこでのリコメンドとしては「あまりコンテンツを見ていない」という発言から負担の少ない視聴スタイルを提案したり、「リラックスできるものがいい」という感想からハードルの低い選択肢を具体的に示したりと「アバターが対話を重ねる中で顧客の潜在的な要望に近づいていく動きが確認できた」(同)

 顧客とアバターが対話のラリーを続ける中で「アバターが“コンサルティング”するように、本当の困り事に近づいていけるようになるのがポイントではないか」と鎌田氏は説明する。今後はAIエージェント技術を中核に据え「デジタルヒューマンを、全社・全チャネルの顧客接点で進化させていく」(同)展望だ(図3)。

図3:デジタルヒューマンの全体アーキテクチャーと今後の展開イメージ

現場起点のAI活用を実現できるAI-CoEに

 JCOMは、グランドメッセージとして「あたらしいを、あたりまえに」を掲げている。それを体現するために鎌田氏は「(1)CX開発の継続、(2)自社で培った知見をパートナー企業や地域企業へ展開し、データ・AI活用の社会実装を後押しする、(3)AI前提の業務構造改革と経営意思決定の高度化、の3つを目指す」とする。

 講演の最後に鎌田氏は「現場起点でのAI活用を企画し、その実装が進められる組織づくりを引き続き推進していきたい」と強調し、締めくくった。