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レガシー問題は経営問題、“持続的”な企業基盤としてのクラウドを再考する【DIGITAL X Forum 2019】

DIGITAL X 編集部
2019年4月4日

TIS:「リフト&シフト」のモダナイゼーションでDX推進を加速

 ITサービス事業者大手のTISは、レガシーシステムのモダナイゼーションサービス「Xenlon~神龍(シェンロン)」を展開している。同社テクノロジー&エンジニアリング本部 エグゼクティブフェローの熊谷 宏樹 氏はまず、DXを「新たなUX(顧客体験)を提供し、新たな価値を提供するもの」と定義する。

写真2:TIS テクノロジー&エンジニアリング本部 エグゼクティブフェローの熊谷 宏樹 氏

 ところがレガシーシステムでは、「『次のシステムリリースは来月15日。それまで待たなければならない』といったことが起こる」(熊谷氏)。しかも、そのテクノロジーは「若手は学びたいと思わないし、それが得意だった技術者も高齢化が進んでいる。結果、肥大化、ブラックボックス化、老朽化につながり、新しい領域にシフトできない」(同)ことになる。

 解決方法として熊谷氏は、(1)ビッグバン、(2)フェーズドアプローチ、(3)現状維持の3つのアプローチを挙げる。

 ビックバンは、システムを再構築(リビルド)するもの。大規模開発になり、大きな推進力が必要になる。業務の有識者がシステム開発に関与する必要があり、期間やコストのコントロールが難しい。

 フェーズドアプローチは、再構築やオープン化によりDXを推進していくもの。ハードウェアだけでなく、開発言語も新しくしリライトするケースが多い。

 現状維持は、現行システムをリインタフェースやラッピングといった手法で他システムにつなぐもの。新旧のシステムで利用技術が異なるため、それぞれのコストが発生し続けることになる。

 TISが推すのはフェーズドアプローチだ。「アーキテクチャーやミドルウェアをオープンかつスタンダードな仕組みに変え、ソフトウェアをリライトすることで、レガシーシステムのリフト&シフトを実現する」(熊谷氏)。

 そのリライトを実現するのが「Xenlon~神龍(シェンロン)」だ。COBOLプログラムをJavaに自動変換する。変換率を熊谷氏は「95~96%」と説明する。自社開発した変換ロジックにより「保守性が高いコードへ変換できる。コードの正確性も高まり性能問題も解消する」(同)という。

 リライトしたシステムはマイクロサービス化を図る。その利点を熊谷氏は「システムの単位や開発チームを分割できるため、分割した単位でのシステムリリースが可能になる」と説明する。実行環境は「クラウドごとに得意分野、サービスが異なるためマルチクラウドが適切だろう」(同)とした。