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高齢化社会を視野に注目が集るデジタルヘルス、エイジテック、アクセシビリティ

「CES 2024」から、デジタルヘルス領域のトレンド

野々下 裕子(NOISIA:テックジャーナリスト)
2024年3月29日

米ラスベガスで2024年1月9日から12日にかけて開催された世界最大級のテックトレンドイベント「CES(シーイーエス)」。今回は、コロナ収束後の活用がデジタルヘルスと、高齢化社会に向けたエイジテック(あるいはエイジングテック)、そして日常生活を支援するアクセシビリティの3分野におけるトレンドを紹介する。

 「CES(シーイーエス)」は毎年、優れたデザインやテクノロジーを備える製品/サービスを表彰する「Innovation Awards」を開催している(2024年の受賞者紹介ページ)。2024年は、29カテゴリーで過去最高の3000件超の応募があった。最も応募数が多かったのが、遠隔医療やセルフヘルスケアなどのデジタルヘルスである。

 同カテゴリーでは今回、56製品が受賞した。世界最小のペースメーカーや3D(3次元)プリンターを使った自動薬剤調合機、AI(人工知能)技術を用いた心臓病の診断ソリューションなどである。同カテゴリーには、ウェルネステックやスリープテック、美容やペット向け製品/サービスも含まれるが、ここ数年は医療機器や特定の疾病を治療する専門性の高い機器が増える傾向にある。

 世界的に関心が高まるエイジテックとアクセシビリティのカテゴリーは、デジタルヘルスとは別に用意される。ここでは24製品が受賞した。1つの製品/サービスは最大3つのカテゴリーに応募できるため、デジタルヘルスと同時受賞している製品/サービスも4つあるものの、両カテゴリーを合わせて80近くが受賞するなど、分野への参入拡大がうかがえる。

日常の活動データを取得するウェアラブルデバイスへの参入が続く

 一方、会場展示では、日々の体調や健康状態を管理するためのデバイスやサービスが目立っていた。体温や心拍、血圧、睡眠時間など日常生活のデータを収集するウェアラブルデバイスは現状、スマートウォッチとスマートバンドが定番になりつつある。だが他にも、指輪にイヤリング、メガネ、イヤホンとデバイスのバリエーションが広がり、スタートアップを含め数多くのメーカーが参入している。

 当初、「それほど人気が出ない」と思われていたスマートリングだが、いろいろなタイプの新製品が多数登場した。例えば、フィンランドのオーラリングが最新バージョンを発表。マインドフルネスに注目する「YogiFi」(米WELLNESYS製)は、サイズが調整でき女性でも身に付けやすくデザインした製品をリリースした(写真1)。CES終了後に韓国サムスンも新製品を発表しており、米Appleも参入するのではないかとの噂もある。

写真1:スマートリング型デバイスの新製品が意外にも多かった

 デジタルヘルス向けウェアラブルデバイスとしては、単機能でも正確にデータを収集でき、バッテリーが長持ちで1日中、身に付けても違和感がないことを打ち出す製品が増えている印象だ。エンドユーザーに直接販売するよりも、福利厚生として会社が配布したり、スポーツジムや保険会社がデータ取得用に配付したりと、遠隔医療サービスなどとの連携用途を狙っていると考えられる。

 国際労働機関の調査によれば、労働中の死亡者数は年間260万人にも上る。グローバル規模の製造業や物流業、建築業が安全対策として、さまざまな事故を検知できるウェアラブルデバイスを導入する事例が増えている。ニーズは今後、ますます高まると見られる。