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【CES2025:生成AI編】生成AIによるAIエージェントが種々のデバイスに搭載されていく
大手企業はAI技術に関するビジョンの打ち出しで競う
生成AI(人工知能)の急速な普及でAI技術は今、第4次ブームに入ったともいわれている。世界最大規模の国際テックイベント「CES」でも2025年は、大手企業がAI技術について、さまざまなビジョンを打ち出した。会場ではAIエージェントを搭載する製品/サービスが多数、見られた。
生成AI(人工知能)は、2022年12月に登場した「ChatGPT」(米OpenAI製)をきっかけに世界中で一大ブーム巻き起こっている。世界最大規模の国際テックイベント「CES」を主催するCTA(全米民生技術協会)は会期前に開いた「Tech Trends to Watch」において「AI技術は引き続き重要なトレンドで、2026年はさらに注目されるだろう」と発表。その理由を次のように説明した(写真1)。
「生成AIは、ビジネスタスクを自律的に処理するエージェント化が進み、生産向上性をもたらしている。ある調査によれば、米国成人の93%が生成AIを理解し、61%がビジネスツールとして使っている。AI技術はスマートフォンやPC、テレビ、モビリティなどのパーソナライズとインテリジェント化も推し進め、デジタルとの共存を強めている」
AI技術に関する戦略やるビジョンを多くの企業が発表
実際、CES2025の基調講演やプレスカンファレンスに登壇した企業は、AI技術を活用したデジタルとの共存を進めるビジョンを打ち出した。
AI戦略の発表で最も注目を集めたのは米NVIDIAである(写真2)。CEO(最高経営責任者)のジェンスン・フアン氏は、90分間の基調講演において「AI技術は驚異的なペースで進歩している」と指摘。「テキストから画像、音楽、映像も生成できるようになったAIは自律して考え、動くようになり、ロボティクスと融合したフィジカルAIが次のフロンティアになるだろう」(同)とした。
会期初日の基調講演に登壇したパナソニックは、生成AI技術を活用するグローバルな企業成長戦略「Panasonic Go」を発表し、「2035年までにAI事業を全売り上げの約30%に拡大する」と宣言した。
そのために、米カリフォルニア州に拠点を置くグループ会社Panasonic Wellを通じて、専門家コミュニティを統合する家庭向けのデジタルウェルネスサービス「Umi」を、まずは米国で2025年に開始する。Umiには、AI研究を手掛ける米Anthropicが開発するAIアシスタント「Claude」を搭載する。
米デルタ航空はAIエージェント「Delta Concierge」の実用化を図る。基調講演では、搭乗者がスマートグラス表示される情報を見ながら、搭乗案内からチェックイン、到着後の移動までをシームレスにサポートされるイメージ動画を紹介した(写真3)。Delta Concierge は、2020年のCESで発表したコンセプトを自社アプリに統合して実現する。
韓国SAMSUNGはプレスカンファレンスで、自社開発するAIプロセサなどを用いて全製品の機能を高めると発表した(写真4)。「AI for ALL」がスローガンだ。2020年に発表した自走型AIロボット「Ballie」をAIコンパニオンにアップグレードするほか、AI技術で高度化した製品を連携し「使えば使うほど賢くなる“真のパーソナルサービス”を実現する」とした。
また韓国LGは、AI技術を「共感知能(Affectionate Intelligence)」として再定義した。日常生活にシームレスに統合され、利便性と新しい顧客体験を提供するという。その一環として、自社開発する生成AI「LG AI Brain」を搭載する移動型のAIホームハブ「Q9」を発表した。