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社会課題解決に挑むテック企業が躍進するアフリカ、人材不足に直面する日本とのマッチングに期待
アンカー神戸の「Kobe x Africa Initiative 2025」より
市場や物価、スピード感など環境・文化の違いの理解が重要
渡邊氏がモデレーターを務めたパネルディスカッション「アフリカ×日本:スタートアップ協業のリアル」には、アフリカに進出している音羽電機工業 国際事業部事業部長の吉田 修太郎 氏と、アフリカに特化したベンチャーキャピタル(VC)であるアンカバードファンドCEO(最高経営責任者)の寺久保 拓摩 氏、そしてルワンダのスタートアップであるKIVU COLDグループCOO(最高執行責任者)のSamuel Imanishimwe氏が登壇した(写真3)。
音羽電機工業は兵庫県尼崎市に本社を置く日本唯一の雷対策専門メーカー。2012年頃から海外展開を始め、アフリカに進出した。現地で雷対策事業のモデルケースを構築し、通信鉄塔を管理している会社と連携したり、雷関連技術の教育に力を入れたりしてきた。これまでに200人ほどが受講し、雷サージから電子機器を保護するサージシェルターをアフリカで初めて設置してもいる(写真4)。
ルワンダやコンゴは世界でも雷が発生しやすい地域で、ルワンダのほとんどの村では雷で怪我をすることも珍しくなく1年間に100人近くが亡くなっているという。
そのルワンダから神戸情報大学院大学に留学していた学生が、音羽電機工業にインターンシップで入社。電気の基礎知識や雷対策を学んだ後に帰国し、母国にIT会社Data Eki(データ・エキ)を立ち上げ雷対策に貢献している。
KIVU COLDグループは、日本とルワンダの合弁スタートアップとして2020年9月に設立された。農作物の収穫後の損失を防ぐ仕組みとして「Mo Fresh」を開発している(写真5)。同社によれば収穫後の損失は、野菜で45%、果物は40%に上るという。
Mo Freshでは、自然エネルギーやリチウムイオンバッテリーを使う冷却ボックスや冷蔵貯蔵庫をモバイルアプリケーションで管理し、電気がない場所でも農作物を適切な方法で保存・輸送できるようにする。日本の技術と経験を現地の企業やネットワークと結び付けることで、さらなる地域の問題解決を目指す。
KIVU COLDグループとしては、アフリカに技術を提供したい日本企業とのマッチングや、アフリカの物価や市場の情報の提供を考えている。だがSamuel氏は「ビジネスではお互いの強み・弱みを補えるよう相互理解が必要だ」と話す。
例えばルワンダでは「気持ちに熱が入ると動きは早くなるが、逆に遅くなる時もある。その違いに日本側がフラストレーションを感じることが少なくないようだ。だが、こうしたズレも、それぞれが技術内容や目標を理解できており、相互に話し合うようにすれば修正できるのではないか」とSamuel氏は期待する。