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設計者の“意図”を汲み取る「ニューラルCAD」が人間の創造性を解放する
「Autodesk University 2025」より
AIエージェントを介してニューラルCADを操作
ニューラルCADに指示を与えるための入力装置としてAIエージェントの「Autodesk Assistant」を用意する。エクゼクティブバイスプレジデント CTO(最高技術責任者)のラジ・アラス(Raji Arasu)氏は「ニューラルCADが提案した形状を洗練させていくためのインタフェースになる」と説明する(写真3)。
例えばニューラルCADが生成した建物の3D CADモデルが建築基準に沿っているかどうかを確認する際には「建設管理者はAutodesk Assistantに『コンプライアンスチェックを実行して』と指示するだけでよい」(アラス氏)という。
これに対しAssistantは、建物のBIM(Building Information Modeling:建物情報モデリング)データに対し法規データベースを突き合わせ3Dモデルのジオメトリを照合・検証する。問題が特定できれば、その内容を適切な設計者に割り当てる。割り当てられた設計者は、修正内容をAssistantに指示すれば、修正が完了する。
このプロセスをAssistantはMCP(Model Context Protocol)サーバーを呼び出しながら実行している。アラス氏は「MCPサーバーはAutodeskだけが使うのではなく、顧客や開発者が独自のAIエージェントを開発するためにも提供していく計画だ」と話す。
並行してAutodesk製品間あるいは他社製品との間でデータを共有するための「データ変換コネクター」の開発にも力を入れる。その一環でデータ交換ソフトウェア「BIMDeX」を開発する米SrinSoftとも提携した。コネクターの利用率は「過去1年で5倍に増加している」(アラス氏)という。
独自のノウハウや秘伝の手法の体現が可能に
ニューラルCADを使った設計プロセスについてヘイリー氏は「設計チームが独自のノウハウや秘伝の手法を体現したAIモデルを訓練・調整することで、独自の優位性を創出できるようになる。毎回ゼロから始めることなく、過去のデータとプロセスを活用しながら、過去からのデジタルデータに閉じ込められている真の価値を引き出せる」と訴求する。
さらに「プロジェクトそのものが『知性を持った生命体』のように動的に再構築されていく」とアナグノスト氏は話す。例えば製品の設計を変更すれば、電気エンジニアによる設計も自動更新されたり、製造ラインに発注データが自動送信されたりする。
ニューラルCADが3D CADモデルを動的に生成したり、リアルタイムに改善したりできるようになれば、これまでの「いかに効率よく、正確にCADを操作できるか」とった設計者の役割は代替される。そこでは他者では代替できない審美眼による評価や最適解を選び取る決断力が、設計物の価値を決定付けるのかもしれない。
