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【COMPUTEX 2026:総括編】AI市場の中核を担う台湾は、半導体製造の先へ次なる布石を打つ
エッジAIの進化が押し上げる台湾製ドローンの存在感
台湾のハイテク市場でもう1つ注目したいのがAIドローンの動きだ。台湾は2024年から、ドローン産業の連携とグローバル展開を後押しするプロジェクト「Drone Taiwan」ブランドを立ち上げている。これまではコストや性能の面で中国や欧米製に遅れをとっていたが、世界的に中国製ドローンが規制対象になったことや、エッジ(端末側)AIの進化により飛行の正確性とデータ解析の精度が確保できるようになったことで風向きが変わった。
そこで、強力なAIサプライチェーンを持つ台湾製ドローンへの期待が高まっている。すでにOEM(受託製造)や製造請負企業は市場を拡大しており、大手メーカーがドローン部門を強化したり、子会社を立ち上げたりする動きが相次ぐ。
AIドローンサービスを出展した台湾企業として、半導体製造のエラン・マイクロエレクトロニクス、電機大手グループQisda(チスダ)、エッジAI開発を手掛けるアバーメディア・テクノロジーズらがある。いずれの企業もニーズに応じて細かいカスタマイズに応じる技術力を強みに、種々のドローンモデルを展示した(写真4)。
また、COMPUTEXの初日夜には、台湾製ドローンの性能をアピールするため、台北市のランドマークである高層タワー「台湾101」を舞台に、1000機のドローンによるショーが披露され、COMPUTEXのテーマと連動した演出が注目を集めた(関連動画:COMPUTEX&InnoVEX ドローンショー)。
AI偏重が進むスタートアップエリアは独自性に課題も
COMPUTEXの目玉の1つであり、今年で10周年を迎えるスタートアップ展示会「InnoVEX」も、年々AI技術からの影響を強めている。今年は23カ国から500を超える企業や団体が出展(写真5)。日本をはじめ、韓国、フランス、チェコなど海外9カ国も参加するなど、こちらも過去最大規模を記録した。
台湾は市場規模が小さいため、スタートアップは当初からグローバル市場を目指す傾向にある。InnoVEXでは、そうした起業家を支援するピッチコンテストを開催したほか、今年は世界最大級のスタートアップ支援組織で昨年6月に台湾で正式オープンした「Plug and Play Taiwan」も初めてブースを構えた。
台湾国家科学技術委員会(NSTC)が主催する「IC Taiwan Grand Challenge (ICTGC)」のように、世界中の優れたスタートアップや大学チームを台湾の半導体エコシステムに結び付けるプロジェクトの出展もある。他にも、次世代AIやロボットなど、台湾で成長する市場でスタートアップを増やすための取り組みが並んだ。資金や資材を要するハードウェア分野での起業はハードルが高いが、支援企業の層が厚い点は台湾の強みだ。
一方で、ブースが増えた分見どころは多かったものの、分野を絞り込んだ支援策の影響か、スタートアップならではの新しい製品やアイデアは全体として少なかった。AI関連の出展も、独自開発より既存ビジネスにAI技術を組み合わせたような事例が目立つ印象がある。どちらかといえば、大企業との連携や売り込みを見据えて起業を目指すケースが多いのかもしれない。
その中で気になる動きとしては、オープンソースでのソフトウェア開発を支援するため台湾政府が立ち上げた「Open Source Team Taiwan」のブースに、多くの来場者が集まっていたことだ(写真6)。
ブースでは、AIモデルから産業アプリケーション、基盤技術まで15のプロジェクトを紹介。AI産業でますます重要になるエンジニアリング人材の育成に向け、コミュニティから国家プロジェクトへと進化させようとする姿勢が見て取れた。


