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【COMPUTEX 2026:半導体関連産業編】エージェントAIの本格化を見据えたハード競争、米Qualcommやキオクシアらが攻勢

野々下 裕子(NOISIA:テックジャーナリスト)
2026年8月17日

半導体関連産業は、来るべきエージェントAI(人工知能)を見据えてAIサーバー市場への進出やCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)、メモリーの新製品投入など積極的に事業展開を進める。「COMPUTEX 2026(台北国際コンピューター見本市)」(2026年6月2日〜5日、台湾・台北)」の基調講演にはQualcomm 社長兼CEO(最高経営責任者)のクリスティアーノ・アモン(Cristiano Amon)氏が登壇したほか、米Intel、日本からはキオクシア(KIOXIA)が存在感を示し、各社の戦略が浮き彫りになった。

 半導体製造で世界有数のファウンドリ(半導体受託製造企業)集積地である台湾は、好調が続くAI(人工知能)市場を背景に成長を続けている。台湾のAIサーバー産業は2026年には2兆元(約10兆円)を突破する見通しで、市場規模はこの10年で100倍を超えた。

 「COMPUTEX(台北国際コンピューター見本市)」でもAIサーバーや関連技術の出展が年々増えている。今年の「COMPUTEX 2026」(2026年6月2日〜5日、台湾・台北)では、米Qualcommや米Intel、蘭NXP Semiconductorsら半導体大手のリーダーが基調講演を持ったが、その狙いは台湾エコシステムとの連携を強め、ビジネスの安定をアピールすることにある。

エッジの強みを生かしてAIサーバー市場へ参入するQualcomm

 COMPUTEX 2026の基調講演に登壇したQualcomm 社長兼CEO(最高経営責任者)のクリスティアーノ・アモン(Cristiano Amon)氏は「テクノロジーの進化は一企業がもたらすものではなく、パートナーシップこそが重要だ」と述べ、世界最大のファウンドリとして同社製品の製造を担う台湾TSMCに対して謝意を示した(写真1)。

写真1:米Qualcomm 社長兼CEOのクリスティアーノ・アモン(Cristiano Amon)氏

 アモン氏は「今年はエージェント(AI)の年になる」と宣言する。AIの性能は驚異的なスケールに達し「プロンプト(指示文)に答えるものから、自律的に行動できるエージェントへと進化している」(同)と強調する。

 そこでは、あらゆるデバイスがエージェントAIのエンドポイントとなり、ロボティクス、モビリティ、産業システムへと広がる。さらに「6G(第6世代移動通信システム)通信の普及で誰もがどこでもAI技術とつながるようになれば、モバイル向けに高性能チップを提供してきたQualcommの強みがより発揮される」とアモン氏は見る。

 Qualcommは成長するAIサーバー市場へも参入する方針を示している。2026年6月末に開催された投資家向けイベント「Investor Day」に先駆けて、AIデータセンター向けの新ブランドである「Dragonfly(ドラゴンフライ)」を発表した(写真2)。

写真2:エッジ向けチップでシェアを持つQualcommは「Dragonfly」の立ち上げによりAIデータセンター市場に挑む

 アモン氏は「スマートフォンなどのエッジ(端末側)に加えてクラウドにチップを配置できれば(通信ロスの)境界は薄れていく」と、双方へとビジネスを広げる機会をうかがう。

エージェントAIの台頭でCPUが脚光を浴びる

 COMPUTEX 2026では、エージェントAIとともにCPU(Central Processing Unit:中央処理装置)とメモリーの需要拡大にも注目が集まった。

 エージェントAIには、大量データを同時に処理するGPU(Graphics Processing Unit:画像処理装置)に加え、司令塔(オーケストレーター)として複雑な処理を担うCPUが欠かせない。電力消費やコスト効率に優れたデータセンターを設計するうえでも、高価なGPUを効率よく使うCPUの役割は重要になる。現在、GPUとCPUの使用比率は4対1程度だが、今後は1対1になるだろうと予測されている。