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エグゼクティブが語るデジタルトランスフォーメーション成功のカギ

コニカミノルタ、みずほ銀行、NTTドコモ、エー・シー・エス債権管理回収の取り組み

中村 仁美(ITジャーナリスト)
2019年7月26日

持続的成長のためにDXに取り組むNTTドコモ

長谷川 卓氏(以下、長谷川)  NTTドコモ 執行役員 情報システム部長の長谷川 卓です(写真6)。NTTドコモは2019年6月に新料金プラン「ギガホ」をリリースしました。背景には、日本の人口が減っていく中で、モバイルビジネスだけでは持続的成長が見込めないことがあります。2020年度以降、どう持続的に成長していくかが当社にとって大きな経営課題になっていました。

写真6:NTTドコモ 執行役員 情報システム部長の長谷川 卓 氏

 そこで、まずは顧客との関係の再構築に取り組みました。料金プランがわかりにくいという不満を解消するために、2つのプランから選ぶだけのシンプルな料金体系にしました。並行して注力しているのが「d払い」です。利用者、加盟店ともに拡大しており、dアカウントは現在7000万人、加盟店は10万店舗を突破しています。

 従来、ドコモと顧客の接点は、ドコモショップのみでした。しかし顧客がドコモショップを訪れるのは、携帯電話を取り替える時ぐらい。日々の暮らしの中で顧客とつながり、信頼を得る手段として用意したのが「dポイント」です。ドコモユーザーでなくても、会員としての関係性を維持できます。

 さらに、さまざまなパートナーと組んでサービスを届けるオープンイノベーションの仕組みとして「+d」を用意しました。ドコモの会員基盤を生かし、デジタルマーケティングに取り組み、パートナーとともにビジネス拡大を図っています(写真7)。

写真7:NTTドコモが顧客との関係構築に向けて取り組むデジタルマーケティングの概要

 持続可能な成長に向けた、もう1つのエンジンが5Gです。デジタルマーケティングと5Gの両輪で持続的成長を図っていきます。

エー・シー・エス債権管理回収はスコアモデリング採用で業務を効率化

表寺 務 氏(以下、表寺)  エー・シー・エス債権管理回収 代表取締役社長の表寺 務です(写真8)。当社はイオンの総合金融事業を担うイオンフィナンシャルサービス傘下の債権回収会社(サービサー)で、700億円の管理残高を扱っています。

写真8:エー・シー・エス債権管理回収 代表取締役社長の表寺 務 氏

 サービサーのマーケットは2009年以降縮小傾向にあります。取扱債権額も2005年の34兆円をピークに減少しています。そこで我々は、いち早く従来型のビジネスプロセスから脱却し、AIやIT技術を駆使した新しいデータ債権プロセスの構築に取り組んでいます。

 回収業務におけるスコアモデリングの活用が、その一例です。属性情報や交渉・入金記録(トランザクションデータ)を掛け合わせて統計的なスコアリングモデルを作成。業務システムにスコアを連携させて運用に落とし込み、効率性を確保しています。

 スコアリングモデル活用の効果も出ています。高スコア帯を優先的にアプローチしたことで生産性が向上し、入金率も3.5ポイント改善しました。現在では約40種類のモデルを活用し、回収確率の序列に基づいて行動したことで全体の回収率が高まっています(写真9)。ほかにも、データ分析コンサルティングや、カスタマージャーニーの最適化、AI活用、IVRやRPAなどの活用による自動化・効率化に取り組んでいます。

写真9:スコアリングモデルを活用しエー・シー・エス債権管理回収が得た効果の例