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エグゼクティブが語るデジタルトランスフォーメーション成功のカギ

コニカミノルタ、みずほ銀行、NTTドコモ、エー・シー・エス債権管理回収の取り組み

中村 仁美(ITジャーナリスト)
2019年7月26日
写真1:「SAS FORUM JAPAN2019」(主催:SAS Institute Japan)の「Executive Panel Discussion」の様子

デジタルトランスフォーメーション(DX)で成果を生み出すには、経営層のリーダーシップの元、関連部署が連携した取り組みが不可欠だ。コニカミノルタ、NTTドコモ、みずほ銀行、エー・シー・エス債権管理回収の各社はDXに、どう取り組んでいるのか。2019年6月に開かれた「SAS FORUM JAPAN2019」(主催:SAS Institute Japan)のExecutive Panel Discussionに登壇した各社のパネルディスカッションから紹介する。(文中敬称略)

 SAS Institute Japanは「Customer Innovation Network」という活動に取り組んでいる。顧客同士をネットワークし、意見を交換しながらイノベーションを創出するための“場”の提供が目的だ。今回登壇したパネラーは、「Customer Innovation Networkのオピニンオンリーダーだ」と、モデレーターを務めたSAS Institute Japan代表取締役社長の堀田 徹哉 氏(以下、堀田)は紹介する。

顧客の変革を支援するサービスプロバイダー目指すコニカミノルタ

江口 俊哉 氏(以下、江口)  コニカミノルタ 執行役 IoTサービスPF開発統括部統括部長の江口 俊哉です。当社は現在、従来の製品別事業体制から、200万顧客を基盤に直販・サービス網を築き、業種・業態別の顧客のトランスフォームを支援するサービスプロバイダーになろうと、全社を挙げてビジネスモデルを変革している最中です。

写真2:コニカミノルタ 執行役 IoTサービスPF開発統括部統括部長の江口 俊哉 氏

 そのハブになるのが、2018年にリリースした「Workplace hub」というエッジIoT(Internet of Things:モノのインターネット)プラットフォームです。顧客の現場で、さまざまなデータを集め、インテリジェントに処理し、課題解決や自動制御、意思決定支援などの付加価値を提供します。顧客の売り上げ向上、利益の確保を支援することを当社のビジネスにするのが狙いです(写真3)。

写真3:コニカミノルタのデジタルトランスフォーメーションへの取り組み

 その代表例が、画像IoT技術によるデータビジネスの創出です。画像IoT技術とAI(人工知能)を高齢者介護に適用して介護士の負荷低減をしたり、農業に使うことで収穫量の安定化につなげたりといったビジネスです。こうしたデータビジネスの創出に欠かせないのが人材です。

 当社では、データサイエンティストやITアーキテクト、システムアーキテクト、アジャイル的な開発をするプロダクトオーナーなどを10年前から育成してきました。データサイエンティストは社内に「人財認定制度」を設け、ビジネスにつなげられるスタンダードレベルの人材を3年間で100人育成するのが目標です。

みずほ銀行はデータに基づく融資の仕組みをメガバンクで初投入

半田 邦雄 氏(以下、半田)  みずほ銀行 リテール法人推進部 部長の半田 邦雄です(写真4)。みずほ銀行は2019年5月より、国内メガバンクとしては初めて中小企業向けのレンディングサービス「みずほスマートビジネスローン」を開始しました(関連記事)。

写真4:みずほ銀行 リテール法人推進部 部長の半田 邦雄 氏

 みずほスマートビジネスローンの特徴の1つは、申し込みから融資実行までがオンラインで完結することです。しかも決算書の提出が不要で、最大1000万円までを正式審査から最短2営業日で融資します。そのためにAI技術を活用した審査モデルを、SASの技術協力の下、みずほ第一フィナンシャルテクノロジーが構築しました。セキュアなWeb基盤の構築は、みずほ情報総研が技術協力しています(写真5)。

写真5:「みずほスマートビジネスローン」を実現するためのアライアンス

 もう1つの特徴は、使いやすいUI(User Interface)/UX(User Experience)を実現したこと。Fintechベンチャーのクレジットエンジンと提携し共同開発しました。このサービスを通じて、敷居が高いと感じられていた中小企業にも寄り添っていきたいと考えています。