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エグゼクティブが語るデジタルトランスフォーメーション成功のカギ
コニカミノルタ、みずほ銀行、NTTドコモ、エー・シー・エス債権管理回収の取り組み
DXを推進する人材は社内だけでは育成できない
堀田 DXを進める人材についてどう考えますか。
長谷川 データドリブンな経営を推進するには、データリテラシーの向上が欠かせません。ドコモのIT部門としては、データの提供だけでなく、全社にデータ活用教育を提供することも役割になります。高度な人材を確保するために2019年4月には「シニア・プロフェッショナル制度」を導入しました。AIなどで高い専門性を持つ人材を市場価値に応じた報酬で採用するもので、最高年俸は3000万円です。
ただ現実に考えて、データサイエンティストの大量採用はできません。そこで、SASのツールを使いこなせる、マーケティングの知識を持ったデータエンジニアを育て増やすことが当社にとっては必要だと思います。全社的な教育とIT部門の高度化の2本柱で進めていきます。
表寺 人材育成は難しい課題です。エス・シー・エス債権管理回収の平均年齢は46歳ですが、サービサーの中では若い部類です。AIやITの専門家は、SASを中心としたプロに任せ、当社はそれをコーディネートし結果を出せる人材を求めています。好奇心が強く、創造力とコミュニケーション力に長けた人材を求めています。
半田 私は2004年から2014年まで、中小企業の業務企画に携わり、SASユーザーとして自らデータマーケティングに取り組んでいました。そこで学んだのは、新しいことを進めるには、いろんな人が結集しなければならないということです。
みずほ銀行ではこれまで、リスクを考えるのはリスクのセクション、ITはITのセクションと分かれていました。ですが、それでは物事は進みません。そこで金融工学の専門家やITのプロジェクトマネジャー、さらにオペレーションの人材を集めた“ドリームチーム”を作り、プロセス改革を進めました。顧客に新サービスを提供する際も、いかに必要なリソースとアライアンスを組めるかが重要です。
江口 コニカミノルタはICT・AIの人財育成に向けた制度を持っています。たとえばデータサイエンス人材認定制度では、エントリー、スタンダード、エキスパートの3つのレベルを用意しています。
ただ業界知識や経験を積んだエキスパートには、そう簡単にはなれないためヘッドハントしており、社内では実際にデータ活用ができるスタンダード以下の層の育成に注力しています。エントリ人財は、すでに数百人の認定者がいます。日本だけでは難しいため今後は、グローバルと連携し強化していく予定です。
DX成功にはトップのコミットメントが不可欠
堀田 最後に、DXの成功のカギはなんでしょうか。
江口 変革は容易ではありません。全組織をけん引するデータを扱う部門がけん引し、地道に人材を育成することが大事だと思います。
半田 顧客に、より良いモノを提供し、顧客に寄り添える環境を作るために、デジタルと向き合い、業務セクションが一体になってリテラシーを高めていることが重要です。
長谷川 一部組織の取り組みにせず、経営トップがコミットし全社的な取り組みにしていくことが大事です。そのうえで、現場が成功体験を積み重ね、企業文化を変えていく。それがDX成功のカギだと思います。
表寺 経営層が志を持ってやり遂げることが大事だと思います。目的を持ち、変化に柔軟に対応することも大事ですが、志がないと途中で揺らいでしまうからです。もう1つ大事なことは、すべってもころんでもチャレンジし続けることです。
堀田 みなさん、ありがとうございました。