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Uberが証明!?デジタルトランスフォーメーションの本質と4つの障壁【第13回】

大和 敏彦(ITi代表取締役)
2018年9月17日

前回『変貌する小売り、金融、製造の姿、デジタルテクノロジー競争力の源泉』と題して、小売り、金融、製造におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の進捗について述べた。今回は、DXに取り組むにあたり「何を目的とすべきか」「推進するためには何が必要か」を考えてみよう。

 これからのビジネスにおけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の重要性については、多くの人が認識している。では、DXの意味や取り組みに関しての認識はどうであろうか。

 米調査会社のForrester Researchが実施した興味深い調査結果がある。北米の1559人のビジネスやテクノロジーの意思決定者を対象に、DXに対する意識や取り組みについて聞いている。ここにはDXの本質につながる答えが隠されている。

テクノロジーを見極めDXの実践は、もはや不可避

 まず「今後12カ月間で、会社の意思決定において最も影響の大きいものは何か?」という問に対する回答は、表1のように、経済や政治を引き離してテクノロジーが1位である。

表1:「今後12カ月間で、会社の意思決定において最も影響の大きいもの」に対する回答(米Forrester Research調べ)
順位項目回答率
1テクノロジーの進化38%
2経済状況31%
3政策16%
4競合や市場破壊15%

 テクノロジーの進化によって市場が変わり、ビジネスやビジネスの進め方が変わる。テクノロジーの進化を見極め、それらが自社のビジネスや市場に与えるインパクトを議論することや、先端テクノロジーのビジネスへの活用を検討・実践したりすることが、会社にとって不可欠になっているわけだ。

 実践に関して「DXの目的を達成するために取ろうとしているアクションは?」という問への回答は表2の通りである。

表2:「DXの目的を達成するために取ろうとしているアクションは?」に対する回答(米Forrester Research調べ)
順位アクション回答率
1継続的なイノベーションカルチャー推進53%
2デジタルプラットフォーム構築39%
3組織横断的な協業を目指した評価の変更34%
4デザインシンキングと顧客の変化をとらえる試み32%
5DXをリードするエクゼクティブ・ポジションの設置30%
6デジタルに関するスキル・知見を増やすための買収30%

 1位と4位はカルチャーに関するアクション、2位と6位はテクノロジーに関するアクション、3位と5位は組織に関するアクション、4位と6位は人材・スキルに関するアクションである。

 この回答から分かるように、DXの実践は、単にテクノロジーを活用することではなく、会社のカルチャーや組織、人材・人事制度を変え、継続的にイノベーションを起こせるように会社自身が変わっていくことである。