• Column
  • CDO CLUB発 世界のCDOは何を考え、どう行動しているのか

増えるCDO、肩書は多様でも不可欠な権限は明白【第18回】

鍋島 勢理(CDO Club Japan 理事、海外事業局長、広報官)
2019年3月4日

2019年も4月の人事異動や7月の株主総会後に、新しいCDO(Chief Digital Officer/Chief Data Officer)が生まれるであろう。日本では2017年には、わずか3名しかいなかったCDOも、2018年12月の時点では、CDO Club Japanが把握しているだけでも50名を超えている。CDOが活躍するのは、むしろこれからだ。

 CDO( Chief Digital Officer/Chief Data Officer)の活躍を讃えるため、米ニューヨークに拠点を置くCDO Club グローバルは2013年から「CDO of The Year」を毎年開催し、各都市で表彰している。2013年はオバマ氏が大統領に就任した年であり、Chief Digital Officer(最高デジタル責任者)としては、「WhiteHouse.gov」の作成を担当したTeddy Goff氏や、ニューヨーク州のCDOであるRachel S. Hoat氏、米スターバックスでCDOを務めたAdam Brotman氏などが受賞している。

 一方のChief Data Officer(最高データ責任者)としては、たとえば2017年は、米IBMのGlobal CDOであるInderpal Bhandari博士や、英ロンドン交通局(TfL:Transport for London)のLauren Sager Weinstein氏が受賞した(写真1)。CDOは企業だけではなく、行政機関などさまざまな組織に置かれるようになっている。

写真1:英ロンドン交通局のChief Data OfficerであるLauren Sager Weinstein氏。CDO Summit Londonにて

国内でもCDO of the Yearを2017年から実施

 CDO Clubの日本の組織であるCDO Club Japanも、2017年から「CDOの役割の認知と普及」に貢献した個人を表彰する「Japan CDO of The Year」を実施している。

 2018年1月に発表した国内初となる「Japan CDO of the Year 2017」は、日本ロレアルのCDO(当時。現在はLDH JAPANの執行役員兼CDO)である長瀬 次英 氏が受賞した。長瀬氏は、日本でまだCDOという役割の認知が進む前から、組織のデジタル戦略の統括責任者としてさまざまな取り組みを進め、社内外への発信を通してCDOという役割の普及・促進に貢献したことが評価された結果だ。

 翌年の「Japan CDO of The Year 2018」は、2018年12月5日に開催した「CDO Summit Tokyo Winter 2018」において、デジタル変革に取り組む大手企業の経営層から、デジタル推進部門や事業部の部長クラスが会するなかを発表された(写真2、関連記事)。

写真2:CDO Summit Tokyo Winter 2018の様子

 受賞したのは、三菱ケミカルホールディングス執行役員 先端技術・事業開発室 CDOの岩野 和生 氏と、SOMPOホールディングス グループCDO 常務執行役員の楢﨑 浩一 氏の2名だ。原則1年に1名ではあるが、両氏の評価は拮抗し、異例の2名同時受賞になった(写真3)。

写真3:「Japan CDO of The Year 2018」の表彰式での受賞者と選考委員会委員。中央左が三菱ケミカルホールディングスの岩野 和生CDO、中央右がSOMPOホールディングスの楢﨑 浩一グループCDO