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  • 学校では学べないデジタル時代のデータ分析法

データを“金”に変えるにはメッセージが不可欠である【第17回】

入江 宏志(DACコンサルティング代表)
2019年1月28日

前回、データが持つ性質の一つとして「データ重力」を紹介した。万有引力になぞらえ、データが蓄積されると“重力”が発生し、アプリケーションやサービスといったIT資産がデータに引き付けられるように発生するという現象をとらえたものである。今回は、そのデータをビジネスに変えるためのプロセスを考えてみる。

 本連載の第1回で、データを取り扱うための3つの能力の1つとして「データエンジニアリング力」を挙げた。DIKW(Data、Information、Knowledge、Wisdom)の理論や数学的な考えを産業界で応用できる力などである。

 このDIKWの流れが、データをビジネス化するプロセスである。

プロセス1:データ(Data)を取得・入力する
プロセス2:データを情報(Information)にして事実を得る
プロセス3:事実をもとに推論し、知識(Knowledge)にすることで真実にたどり着く
プロセス4:ビジネスにつながるメッセージにすることで知恵(Wisdom)に変換する

 ただし、知識や知恵にしなくても、情報の段階でもお金になり得る。たとえば、Open Dataは、そのままでは単なるpdfやcsvのファイルだが、それを分類・可視化し情報の束に加工すれば価値が出てくる。当然、その情報の束を本格的に分析し推論することも重要ではあるが、その一歩手前の状態も十分ビジネスになる。

ビジネスのためのデータを取得・入力する方法が変化

 ビジネス化を図る過程で、データの取得・入力する方法が変化してきた。第10回で解説したように、人のデータは以下の4つに大別できる。

データ1:明確な要求(デマンド:Demand)のデータ
データ2:意図のない単なる事象(イベント:Event)のデータ
データ3:人の顕在化した感情(エモーション:Emotion)のデータ
データ4:人の潜在的な心理(マインド:Mind)のデータ

 これら4つのデータに対応する形で、データの入力方法が遷移している。

入力方法1:キーボード(汎用コンピューターなど)、マウスやトラックポイントの活用(PCなど)
入力方法2:指によるタッチ(スマートフォンなど)
入力方法3:音声(AIスピーカーなど)
入力方法4:脳波(BMI:Brain Machine Interfaceなど)

 キーボードの時代には、データビジネスとしてデータの入力代行が存在した。マウスの時代には、企業を運営するための業務やビジネスプロセスを専門企業に外部委託するBPO(Business Process Outsourcing)が流行した。そして今は、音声入力で得たデータをデータサイエンティストやAI(人工知能)が解析する時代になっている。この流れやデータ分析法を熟知する人材が教師データを創造している(図1)。

図1:データの種類と入力方法の遷移

 さらに今後は、人間の脳からのデータ入力が考えられている。BMI、つまり脳と人間のインタフェースの開発が進んでいる。人間が考えたり体を動かしたりする際には、脳細胞から脳波が発せられている。BMIは、その脳波信号を読み取って、手や音声を使わずにPCや機械を操作する技術だ。脳の比較的安全な部位にセンサーチップを埋め込み、脳波を読み取る仕組みもある。

 BMIでは、脳波に表れた人間の意志を機械へ入力・命令する信号に変換し発信する。最近では逆の流れ、機械から脳へ信号を送ることも研究されている。「Brain-computer interfaces」という分野もあるように、次世代を切り開くキーワードだといえる。人間である意味を変えていく可能性を秘めている。