• Column
  • 学校では学べないデジタル時代のデータ分析法

データ分析に不可欠な発想力は日々の行動で磨ける【第18回】

入江 宏志(DACコンサルティング代表)
2019年2月25日

第13回から前回まで、データ分析に必要な心理的側面や数学的手法を生かすためのセンス、データ分析をビジネスに変えるためのメッセージ力などについて解説してきた。今回は、もう1つのセンスである「発想力」について考えてみる。発想力は、先天的なものもあるが、磨き上げるものである。

 みなさんは、どんなカレンダーを使っているだろうか。筆者は2005年から「6年カレンダー」を公私ともに用いている(図1)。2005年に購入した6年カレンダーは、2005年から2010年までの同じ月に、何がいつ起こったかが一目でわかるカレンダ−である。

図1:あらゆるデータの紐づけに有効な「6年カレンダー」のイメージ

 この6年カレンダーに日々、筆者は世の中や個人的に起こった出来事、そしてその時の感情や体調を小まめに書き込んでいる。関連する事柄を紐付けていくと、リズムや、流れ、傾向が分かるようになってきた。以前よりも、これから起こること、すなわち未来を予見できるようになった。

 2011年に2冊目を購入しようとしたが、筆者の周りでは見つけられなかった。そのため、2011年から2016年の6年カレンダーと、2017年から2022年の6年カレンダーは自作した。それほど重宝しているのである。この6という数字が「完全数(自身を除く正の約数の総和が自分自身に等しくなる自然数)」であることも興味深い。完全数については別の回で解説したい。

 6年カレンダーに加えて、平成になってからの31年間、朝・昼・夕の食事のメニューをノートに記録している。自らの生活をデータ化することで、データ分析は身近なものになる。旅行はどこに行くか、子供の受験では何が試験問題に出るか、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)はどうするかなどなど、分析が本当に役に立っている。

 ほかにも、健康状態・買い物・運動・住まいなど身近なことが分析対象になる。たとえば、筆者はマンション住まいだが、各戸の玄関ドアが古くなり塩害で傷んでいることが気になっていた。仕事で国家予算の補助金を分析した結果を紐付けることで、玄関ドアの改修に新たな補助金を適用できた。

 定型的な事象は分析すれば、かなりの精度で予見できる。だが、それが他にどう影響するか、あるいは、非定型なことが起こった際に発想力をどう働かせるかが重要だ。言い換えれば、アイデアをどう創出し、全く関係ないもの同士をいかに紐付けるかがポイントになる。

1人でアイデアを出すには“違和感”を探せ

 1人で発想力を利かせてアイデアを出すためには訓練が必要である。時間があれば頭の中で連想を膨らませていくのだ。見たものを頭の中で画像処理し、いつもとは違うもの、つまり“違和感”を探す。違和感が複数あれば、それらを紐付ける。1つの違和感が周りのものに、どう影響するか想像を働かせるのである。

 たとえば、街を歩いていると、ごく一般的なパチンコ店があり、その店先に日よけとして、ひさしが設置されている。だが今日は、いつもと何かが違う。ひさしが少し下がっている。よく観察すると、前日に降った雨が、ひさしに溜まっている。案の定、強い風が吹くと雨水が飛ばされ軒下を通る人をびしょ濡れにした。

 これは実際に目撃した例だ。この例では、びしょ濡れになる前に、違和感をつかめれば良い。違和感は、凹んだひさし、強風、前日の雨である。これらを紐付けると結果が読める。昔から「風が吹けば桶屋が儲かる」と言うが、風が吹けば次に何が起こるのかを連想しなければならない。大きな因果関係をつかむ前に、小さな因果関係を結んでいけるかが問われている。

 では、どうすれば違和感を持てたり、次々と連想したりできるようになるのだろうか。筆者が実際に行っている方法を伝授したい。