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ヘルスケアの分析:その3=ヘルスケアの辞書【第32回】

入江 宏志(DACコンサルティング代表)
2020年3月30日

第30回から「ヘルスケアの分析」として、筆者が蓄積してきた31年分のデータを使ったモデルなどから食べ物とサプリメントに関する分析結果を紹介してきた。今回は、実際のデータ分析に必要になる「ヘルスケアの辞書」について紹介する。これは病気そのものへの助言ではない。あくまでもヘルスケア関連データを分析する際の参考にしてほしい。

 第2回で述べたように、データ分析で重要なのは「列の数を増やす」ことである。分析を深掘りしたい場合は列を追加することで、それまで見えなかった事実が把握できるようになるからだ。

ヘルスケアの関連性をあらわす表に「列」を加えて強化

 その考えに沿い、第30回で提示した表【病気手前の状態を改善するための運動と食材の例】を強化する。列に、「ストレス・肥満・フレイルという病気手前の状態」に加え、「健康診断で出るデータ」を追加する。行には、「自覚症状・他覚症状・生活習慣や性格・食材・運動」に加えて、「放置すると心配な病気」を加えた。

 食材についても種類を増やしているが、行と列を増やすことで分析対象のデータが大きくなることが理解できるであろう。これも過去にフレイルを中心にヘルスケアでデータ分析した結果の一部である。

 表の見方としては、「●」が関係性を表し「□」は運動で有効と思われる印だ。「〇」は該当の症状改善のためなるべく摂りたい食材を指し、「×」はなるべく控えたい食材を示している。自らの自覚症状や健康診断のデータをもとに参考にしてほしい。もっと知りたいことがあれば、独自に列を増やせば良い。

 表が大きくなったので、自覚症状との関係(表1)、他覚症状との関係(表2)、生活習慣や性格(表3)、放置すると心配な病気との関係(表4)、食材との関係(表5)、運動との関係(表6)に分けて掲載する(表5、表6は次ページ)。

表1:病気手前の状態・健康診断のデータと自覚症状との関係。●=関係性がありそう
病気手前の状態健康診断のデータ
ストレス肥満フレイル腎機能の低下血圧が高め血糖値が高め中性脂肪値が高めLDLコレステロールが高め肝機能の数値がよくない尿酸値が高め
疲れやすい
肩こり
腰が痛い
ひざ痛
頭痛
筋力の低下
体重増加
体重減少
息切れ
目のかすみ
腹の周りのぜい肉
肩が上がらない
イライラする
アレルギー
めまい


表2:病気手前の状態・健康診断のデータと他覚症状との関係。●=関係性がありそう
病気手前の状態健康診断のデータ
ストレス肥満フレイル腎機能の低下血圧が高め血糖値が高め中性脂肪値が高めLDLコレステロールが高め肝機能の数値がよくない尿酸他覚症状
加齢臭がする
姿勢が悪い
老けた
背中にぜい肉がついた


表3:病気手前の状態・健康診断のデータと生活習慣や性格との関係。●=関係性がありそう
病気手前の状態健康診断のデータ
ストレス肥満フレイル腎機能の低下血圧が高め血糖値が高め中性脂肪値が高めLDLコレステロールが高め肝機能の数値がよくない尿酸
生活習慣や性格
歩くのが遅い
甘いもの好き
運動不足
人に会うのが面倒
やる気がない
せっかち
タバコを吸う
早食い
睡眠不足
日光浴の不足


表4:病気手前の状態・健康診断のデータと放置すると心配な病気との関係。●=関係性がありそう
病気手前の状態健康診断のデータ
ストレス肥満フレイル腎機能の低下血圧が高め血糖値が高め中性脂肪値が高めLDLコレステロールが高め肝機能の数値がよくない尿酸
脳卒中
肝臓病
心臓病
胃腸病
糖尿病
認知症
高脂血症
うつ病
不安障害
寝たきり