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デジタルディスラプターの先行優位性は3年未満【第17回】

今井 俊宏(シスコシステムズ イノベーションセンター センター長)
2019年3月11日
表3:欧州の主なライドシェアリングサービス提供会社
会社名設立概要
仏BlaBlaCar2006年9月遠距離の都市間の移動にフォーカスしたサービスを提供。欧州内で利用を拡大
独Mytaxi2009年6月メルセデスベンツが手がけるアプリケーションサービス。2010年にドイツでサービス開始し、欧州で利用拡大
スペインCabify2011年5月2012年1月からサービスを開始後、スペイン語圏である中南米で利用を拡大
表4:中東、アフリカ、南米の主なライドシェアリングサービス提供会社
会社名設立概要
イスラエルGett2010年11月設立時の名前は「GetTax」。2017年4月にニューヨークを拠点にしていた米国のJunoを買収し、米国、イスラエル、ロシア、欧州各国でサービスを拡大、2016年5月には独Volks Wagenが3億ドルを出資
UAE・Careem2012年3月ドバイからスタートし、パキスタン、北アフリカ、中東諸国でライドシェラリングサービスを展開
ブラジル992012年ブラジル初のユニコーン企業。2017年1月に中国のDiDiが出資し、現在はDiDiの子会社
トルコBiTaksi2013年1月トルコでライドシェアサービスを提供

 なお表には示していないが、アフリカにもすでに60近いライドシェアサービス提供会社が存在し、サービスを提供している。

 表1〜表4をみれば、ライドシェアサービスは、DiDi Chuxing(株式評価額560億ドル)、Lyft(同115億ドル)、Grab Taxi(同110億ドル)、Go-Jek(同100億ドル)といったデカコーンが次々と登場する凄まじい市場になっている(図2)。

図2:UBER登場から10年を経て進化するライドシェアサービス

 Uberは、登場から約10年の間に、グローバルプレーヤーとしての地位を確立した。しかし市場に無数のシェアリングサービス会社が登場したことで、攻撃戦略一辺倒ではなく、地域によっては撤退戦略を採る必要もあった。

 ライドシェアサービスの対象は、ドライバーが所有する車やタクシーはもとより、バンやバス、EV(電気自動車)、電動三輪車、電動キックボードなどへ、その対象を拡大している。これらのサービスはワンストップで利用できるようになっていくと考えられる。

 今後も利用者ニーズに合った多様なサービスを素早く提供するためにも、カスタマーバリュー、エクスペリエンスバリュー、プラットフォームバリューを組み合せたバリューを最大限に生かし常に進化し続けることだろう。