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都市OSを駆動させるスマートシティの要となる「地域データ」(前編)【第21回】
元総務大臣補佐官 太田 直樹さんに聞く
企業の顧客情報やアクセスデータ、行政の住民データといったビッグデータやオープンデータはこれまで、各組織が縦割りで管理・運用してきた。スマートシティプロジェクトでは、地域全体で管理し、地域の発展のために利用する「地域データ」という新しいモデルにならなければならない。元総務大臣補佐官で日本各地でデータ活用やスマートシティの取り組みを進める太田 直樹 氏(New Stories代表)に、地域データを活用するために「真に必要な根幹は何か?」を聞いた。前後篇に分けて紹介する。(文中敬称略)
中村 彰二朗(以下、中村) アクセンチュア・イノベーションセンター福島(AIF)センター長の中村 彰二朗です。太田さんは総務大臣補佐官として活躍され、今も地方創生や地域開発におけるキーパーソンとして活躍されています。現在、取り組まれていることからお聞きかせいただけますか。
太田 直樹 氏(以下、太田) 今はNew Stories代表として行動している太田 直樹です。現在は3つの分野を手がけています。(1)New Storiesで進めている「プライベートセクター」、(2)主に政府をお手伝いする「パブリックセクター」、(3)NPO(非営利団体)などを支援する「ソーシャルセクター」です。時間の掛け方でみると「5 : 3 : 2」といったところです。
地域の未来を創造するプロジェクトを推進中
太田 プライベートセクターでは主に2つのプロジェクトが進んでいます。1つは日本の大手メーカーをスポンサーとする「市民 × 地域企業 × 大学 × 行政」のプロジェクトです。経営者や市民の方々と地域の経済や産業の未来を描こうという内容です。
もう1つは教育分野において、学校関係者や教育系スタートアップと協働しながら「ICT × 教育」など、地域の未来を創る取り組みをしています。いずれも、いわゆるオープンイノベーション(共創)」の取り組みです。
パブリックセクターでは「Society 5.0(超スマート社会)」に関わる国の事業の分科会メンバーとして、「スマート公共サービスをどうデザインするか」「プログラミング教育をどう推進するか」「スマートアグリ(農業)をどう盛り上げるか」といったことを手がけています。
そしてソーシャルセクターでは、日本型シビックテックでもある「Code for Japan」の理事をしています。ICTを駆使して市民自らが社会を変えようという取り組みです。
中村 分野は違っても、市民や公共によるテクノロジー活用に関わるお仕事ですね。
太田 そうです。「先端技術が人を助ける」ことに携わっていきたいのです。その中でも、今後カギになるとみているのが「地域データ」です。