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- 会津若松市はデジタル化をなぜ受け入れたのか
「各種サービス×都市OS」の機能連携を会津で実証研究する理由【第24回】
〜データに基づく市民中心のスマートシティの実像〜
会津若松市を実証フィールドとして、スマートシティ・アーキテクチャー(都市OS)とデジタル技術を活用する各種サービスと「機能連携の実証研究」が、アクセンチュアを含む4社共同で始まる。これは、2020年4月から一斉に始まる第2期「まち・ひと・しごと創生総合戦略」(第2期地方創生)における、スマートシティ標準化の到来に向けた実証でもある。人口減少社会の問題に対する解決策の1つになる各種新サービスの実証事業の内容を紹介する。
前回、NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が管理法人を務める「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第2期/ビッグデータ・AIを活用したサイバー空間基盤技術におけるアーキテクチャ構築及び実証研究」において、「スマートシティ分野:実証研究の実施」が研究開発項目の1つに挙がっていることを紹介した。
この実証研究事業をアクセンチュアは、次の3社と共同で推進することを2019年11月26日、会津若松で発表した(写真1)。決済関連サービスも提供するITサービス大手のTIS、データ分析を手がけるARISE analytics、デジタルガバメントの実現を推進するアスコエパートナーズである。
行政サービスの一元化で市民生活の利便性を飛躍的に高める
同研究事業の目的は、行政や企業が提供する、さまざまなサービスをプラットフォーム上で連携させ、市民への浸透や利用拡大を産学官連携で推進することで、地域の市民生活全体をより良くしていくことにある。
具体的には、会津若松市民に向けたコミュニケーションポータル「会津若松+(プラス)」に紐づく、市民1人ひとりが持つ「住民ID」を基盤として活用し、市民生活の利便性向上を実証する。このモデルを採用する地域が会津若松以外にも徐々に増えていることは、本連載でも紹介した通りだ。
モデルの中心には市民がおり、市民の手の中には1一人ひとりが持つデータがある。市民がオプトインで承諾し、自らのデータを提供することで、よりパーソナライズされたサービスを受けられるようになることは、これまでも繰り返し述べてきた。行政が持つオープンデータと市民のデータを、プラットフォーム上で掛け合わせることで、サービスは日々便利になっていくのである。
会津若松のスマートシティプロジェクト事業を運営・実施する「一般社団法人スマートシティ会津」は、地域主導型スマートシティモデルを追求してきた。今回の実証においても、市民と行政のコミュニケーションをプラットフォームに集約し、サービスの入り口をポータルで一本化することにより、サービスの一元的提供の実現を目指す。すべてが市民の利便性向上に寄与するモデルになっているといえる。