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  • 地方版IoT推進ラボが取り組む課題解決プロジェクト

e-PORT構想で実現したICT基盤上で地域課題を解決【北九州市IoT推進ラボ】

谷口 智美、小嶋 洋一( 北九州産業学術推進機構)
2018年12月21日

中小企業の人手不足解消にロボットやIoT、AIの活用を支援

 一方、中小企業における深刻な課題になっている人手不足への対応では、ものづくり産業などの生産性向上を支援するため、ロボットやIoT、AIなどの最新新技術の導入をコーディネートする人材を育成するスクールを開講している。

 2017年度に実施した経済産業省の「スマートものづくり応援隊事業」のスクール事業では、19講座を開催し延べ530人が受講した。講習修了生らを企業に派遣し、中小企業が抱える課題解決に取り組んだ。市内の中小企業支援機関やシステムインテグレーターとも連携し、中小企業への最新技術による生産性向上を加速させている(図4)。2018年度のスクール事業では、参加企業が製造業だけでなく、建設業や卸売業、サービス・ソフト開発業などへと広がっている。

図4:スクール事業を拡大し地元企業への最新技術導入を後押し

 スクール事業だけでなく、IoTによるものづくり現場の見える化事業にも取り組んでいる。具体的なIoTモデルプロジェクトを案件の探索から導入までを実施することで、継続的にプロジェクトが創出される持続可能な仕組みを創り出す。

 進行中の取り組みとして、企業訪問による現場ヒアリングから課題箇所を見つけ出し、IoT活用による解決を支援している。これを、より多くの企業に応用していくことで、市内企業全体の活性化を目指す。

導入効果の理解に向け経営層や現場責任者の人材育成も必要

 新ビジネス創出に向けては、企業が抱える課題解決に向けた共創の枠組みやPoCの支援が不可欠だ。Industry4.0の先端技術の導入では、企業の現場担当者を対象にした人材育成に加え、経営層や現場の責任者を対象にした人材育成も必要である。設備投資や導入効果を理解してもらわなければならないからだ。

 今後は、北九州市が抱える課題の1つである高齢化による労働人口の減少(人手不足)への対応に向け、Industry4.0の技術導入による中小企業の生産性向上に対し積極的に支援していく。

谷口 智美(たにぐち・ともみ)、小嶋 洋一(こじま・よういち)

北九州産業学術推進機構(北九州市IoT推進ラボ運営)