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  • 地方版IoT推進ラボが取り組む課題解決プロジェクト

慶応大学との産官学連携で地域を網羅するIoTプラットフォームを構築【湘南IoT推進ラボ】

中澤 仁、米澤 拓郎(慶應義塾大学)、福田 達夫(藤沢市IT推進課)
2019年4月5日

データ流通による住民のQoL向上を目指す

 これらプロジェクトにおける産官学の役割分担は以下のようになっている。

藤沢市:課題の抽出、実験フィールドの調整、実証実験の計画と実施
藤沢市資源循環協同組合:要件の抽出、システム改善案の検討、実験フィールドの調整
慶應義塾大学:システムの構築・運用、実証実験の計画と実施
NTT東日本:実証実験の計画・マネジメント・実施

 当初の想定以上に、行政の参画が期待を上回る成果につながっている。特にゴミ清掃業務では、従来の運用モデルからシステムを中心とした運用モデルへ刷新が図られ、業務効率を大きく改善できている。

 一方で、大学を中心としたシステムの運用では、大学の停電などによってサービスが時に停止することがあった。安定したサービスを継続して提供することの難しさを改めて実感している。

 湘南IoT推進ラボが考案した情報流通プラットフォームのアプローチは、低コストで持続可能な都市情報のセンシングモデルとして、国内外より高い評価を得ている。国内では年に1編の論文だけが選ばれる「情報処理学会デジタルプラクティス論文賞」を受賞。海外では、モバイルコンピューティング分野における著名な国際学会であるACM Mobicomが実施するアプリケーションコンテストで優勝した。

 今後は、現在の研究プロジェクトの有効性が確認され、その研究成果から新たな産業が生まれていくだろう。同時に、データ流通による都市の可視化も進む。これらを推進し、住民のQoL(Quality of Life:生活の質)向上に寄与するソリューションにつなげていきたい。

中澤 仁(なかざわ・じん)、米澤 拓郎(よねざわ・たくろう)、福田 達夫(ふくだ・たつお)

順に、慶應義塾大学 環境情報学部 教授、慶應義塾大学 SFC研究所 所員、藤沢市IT推進課