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リアル空間とグループウェアで地域のナレッジをシェアし地域マッチングで新事業創出へ【八尾ローカルナレッジシェア推進ラボ】

津田哲史、松尾泰貴(八尾市 経済環境部 産業政策課)
2019年5月10日

地域のシェアリングによりコラボレーションにつなげる

 八尾ローカルナレッジシェアの中核事業は、シェアリングエコノミーの促進である。2018年5月8日に発足したコンソーシアム、みせるばやおが運営する「みせるばやお」を活動拠点に、さまざまなナレッジを共有することで、地域課題である人材不足の解決を図る(写真2)。

写真2:みせるばやお、のシェアリング空間

 シェアリングに向けては、みせるばやおを実証拠点に位置づけ、クラウド型グループウェア「kintone」(サイボウズ製)上に構築するポータルサイトを活用して会員や地域のコラボレーションをうながす(写真3)。コンソーシアムが情報の活用と場の提供を担い、サイボウズがkintoneを提供し、その活用方法を提案する。kintone上のポータルサイトはノベルワークスが構築支援・管理する。

写真3:みせるばやおのグループウェア上にあるポータルサイトの画面例

 みせるばやおでシェアする対象は(1)空間、(2)ビッグデータ、(3)人材の3つである。

(1)空間シェア

 近鉄八尾駅前の商業施設内に立地する、みせるばやおの利便性を生かし、コワーキングやワークショップをコンソーシアム参画企業が企画・運営する。それらの稼働状況をクラウド型グループウェアを使って見える化する。

(2)データシェア

 みせるばやおを訪れた顧客情報(アクセスログ、購入記録、アンケート結果等)などのビッグデータを活用する。将来的には、マッチング精度の向上や、マッチング情報の見える化をうながすことで、ビジネスマッチング支援のスピードアップを図りたい考えだ。

(3)人材シェア

 個々の企業では雇用できないクリエイティブ人材(デザイナー、クリエイター、エンジニア)をシェアする。みせるばやおをノマドワークやコワーキングスペースとして利用し、地域全体での優秀な人材確保を目指す。

 これらのシェアリングにより、一社一社では取り組めなかったビッグデータ活用も中小企業が連携して実施し、これまで交わることがなかった企業間の交流や地域住民との交流を生み出すことで、業種業態をまたがる「クロスイノベーション」を創出する仕組みを形成し課題解決を目指す。