- Column
- 本当にビジネスの役に立つSAP流デザインシンキングの勘所
いま「デザインシンキング」を語る意味【第1回】
さらには、あなた自身がデザインシンキングの“舞台装置”そのものの一部であるという認識が、とても重要です。他のだれもが「Yes、 and」であっても、あなたが「Yes、but」のマインドセットを持ち込んでしまえば、デザインシンキングのマインドセットは働きにくく、チームが共同して働く力は弱くなります(写真2)。
特に、あなたが他の参加者よりも職位や経験が勝っていれば、より一層、マイナス効果が大きくなります。効果を最大限に得るためには、関わる全員がデザインシンキングのマインドセットで事に当たる必要があるのです。
このマインドセットに対する意識は、もっと強調されるべきではないかと、筆者は実践の現場で常々感じています。筆者が重要だと感じるデザインシンキングのマインドセットを、ここに挙げておきます。
Human-centered:人間の価値を中心に考える
Yes and:アイデアを受け入れて、発展させる
Bias toward action:実行(Doing)を大事にし、とにかくアクションを起こして前に進む
Radical Collaboration:極端に違う専門性を持つ人とのコラボレーションを善しとする
Show、don’t tell:言語ではなく(プロトタイプなどで)視覚や体験に訴えるコミュニケーションを取る
いかがでしょうか。頭では理解しても、実行が伴わないことは往々にしてあります。ワークショップなどの特別な時間だけでなく、日々実践してみることで、マインドセットの切り替えを身につけましょう。「習うより、慣れろ」です。
次回は、デザインシンキングのプロセスについて説明します。
原 弘美(はら・ひろみ)
SAPジャパンソリューション統括本部イノベーションオフィス部長。Hasso Plattner Institute D-School認定デザインシンキング・コーチ。SAPジャパンでは、ハイテク業界、食品消費財業界、製薬業界への製品展開、日本向け機能の開発、顧客提案支援などに従事。ビジネスプロセスマネージメントやマスタデータ管理などの顧客提案担当を経て、SAP が対外的にDesign Thinking with SAP を展開しはじめた2013 年より、SAPジャパンにおけるDesign Thinkingの展開、顧客提案における活用を推進。2016年よりSAPアジア・パシフィック地域Design Thinking with SAP リードも兼任。中央大学法学部卒業。