- Column
- 欧州発の都市OS「FIWARE」の姿
EUの経済発展と競争力強化の必要性から生まれたFIWARE【第1回】
FIWAREはオープンなソフトウェア部品の集まり
FI-WARE/FI-COREプロジェクトで開発されたFIWAREは、「Generic Enabler」と呼ぶソフトウェアコンポーネント群で構成されています。Generic Enablerは、オープンアーキテクチャーと、新しいサービスインフラストラクチャによるオープンソースのリファレンス実装です。汎用的で再利用可能なビルディングブロック思想に基づいており、プロジェクト期間中に整備されたGeneric Enablerは52種類(当時)に上ります(図1)。

Generic Enablerで構成されるFIWAREの特徴は、(1)ローカルシステムを超えたデータの連携と利用が可能なこと、(2)ベンダーロックインの排除の2つです。
特徴1:ローカルシステムを超えたデータの連携と利用
Generic Enabler群は、オープンなAPI(Application Programming Interface)を利用した連携が可能です。FIWAREは「NGSI(Next Generation Service Interfaces)」というオープンな国際標準規格のAPIを採用しています。NGSIは、携帯電話の規格を策定する組織であるOpen Mobile Allianceが仕様策定した次世代のネットワークAPIです。
FIWAREはまた、標準データモデルを推奨しています。「コンテキスト(CONTEXT)」と呼ばれる、モノが有する属性のうち必要性の高いものを標準化し、データモデルとして取り扱うことで、データの汎用性・連携性を高めようという考え方です(図2)。

FIWAREの普及団体であるFFはFIWAREの普及、国際標準化に加え、標準APIとしてのNGSIの普及にも積極的に取り組んでいます。オープンAPIの採用と標準データモデルの推奨、国際規格化を進めることで、FIWAREを「ローカルシステムを超えたデータの連携と利活用」に最適な基盤にしようとしています。
特徴2:ベンダーロックインの排除
FIWAREのGeneric Enablerはオープンでロイヤリティフリーの仕様を用いてOSSとして提供されています。Generic Enablerを使って開発したサービスなどを第三者がビジネスに適用しても、そこに利用料は発生しません。
加えて、前述したオープンなAPIを採用することで中立性を保っています。誰もがFIWAREを利用できる「ベンダーロックインのない環境」を提供することで、中小企業やスタートアップが競争力を高めるための術を提供しているのです。