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  • 欧州発の都市OS「FIWARE」の姿

EUの経済発展と競争力強化の必要性から生まれたFIWARE

村田 仁(NEC PSネットワーク事業推進本部マネージャー)
2020年1月22日

「FIWARE(ファイウェア)」はEU(欧州連合)において、官民連携投資によって開発・実証された次世代インターネット基盤ソフトウェアです。オープンソースソフトウェア(OSS)として提供され、スマートシティを実現するための「都市OS」としての活用が期待されています。今回は、FIWARE誕生の背景から、FIWAREとは何か、スマートシティとの親和性について説明したいと思います。

 「FIWARE(ファイウェア)」の誕生の背景を述べる前に、FIWAREが生まれたEU(欧州連合)について振り返っておきましょう。

 欧州各国は1958年、域内の経済統合を目的とした「欧州経済共同体(EEC)」を設立しました。1993年のマーストリヒト条約において、安全保障(外交・防衛)と治安の維持を柱に加えた活動としてEUが発足し、EECはEC(欧州共同体)に改称されます。この活動流れの中で通貨が統合され、1999年1月に単一通貨「ユーロ」で結ばれたユーロ経済圏が誕生しました。

 2009年12月のリスボン条約において、ECは廃止され、域内全体に影響する法令を制定できるEUが成立しました。経済圏内の通貨統合や域内の自由な往来は、国の枠組みを越えた理想国家のようですが、それゆえの課題もあります。

 その1つが金融政策です。EU圏では単一の金融政策が実施されます。EUには人口8000万人を超える工業国ドイツもあれば、人口は50万人にも満たず観光を収入源とするマルタのような国もあります。財政状況が良くないギリシャやスペインのような国もあります。各国の財政状況に応じた金融政策を施行できないため、富める国には通貨が割安に、そうでない国には割高になり、国の格差を生んでしまっているのです。

 世界でEUの発言力を高めるためには、EU参加国が一様とは言わないまでも、ともに経済発展を続ける必要があります。EU圏全体の経済発展のためには、金融政策以外の施策が必要になります。

 別の理由としてGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon.com)の台頭があります。欧州規制委員会は2015年、米グーグルに対しEU競争法(独占禁止法)の違反疑義の警告を皮切りに、2017年と2018年に制裁金を課しました。

 2018年には「GDPR(General Data Protection Regulation):一般データ保護規制」を施行し、EU加盟国に3カ国を加えたEEA(欧州経済地域)圏外への個人情報の持ち出しを原則禁止しています。

 こうしたEUの対応は、圧倒的な情報量と競争力を有するGAFAのような外資系企業のEU圏内への影響を抑制するとともに、EU圏内でもデータ利活用による効率化や、日々進化してゆくインターネット環境の最大利用を早期に立ち上げる必要から整備されたものでしょう。明確には記載されていませんが、GAFAの存在が、FIWAREの整備に少なからず影響していると推察されます。

 EUの発展を支えるための施策と法の整備だと考えれば、個人情報規制/GDPとFIWAREのいずれもが、EU圏全体の経済発展と競争力育成の必要性から生じたものと言えるでしょう。