- Column
- 欧州発の都市OS「FIWARE」の姿
都市OSとしてのFIWAREのアーキテクチャー【第3回】

EU(欧州連合)が官民連携で開発・実証した次世代インターネット基盤ソフトウェアの「FIWARE(ファイウェア)」。前回はスマートシティを実現するための都市OSに求められる要件を説明しました。今回は、その要件をFIWAREがどう実現しているのかを説明します。都市OSの内側で、どのようなテクノロジーの工夫がなされているのかをみてみましょう。
第1回では、EU(欧州連合)で開発・実証された次世代インターネット基盤ソフトウェア「FIWARE(ファイウェア)」の設計思想として(1)ローカルシステムを超えたデータの連携・利用、(2)ベンダーロックインの排除の2つがあるとしました。そのために「Generic Enabler(GE)」と呼ぶソフトウェアコンポーネント群で構成されているとも説明しました。
また前回は都市OSに求められる3つの要件として、(1)拡張容易=つづけられる、(2)相互運用=つながる、(3)データ流通=ながれる、を挙げました。
これらをFIWAREは、どのように実現しているのかを説明します。
スマートシティサービスを実現する機能をレイヤー別に定義
図1は、FIWAREのスマートシティにおけるアーキテクチャーです。最上段の「Smart City Governance services」が実現したいスマートシティサービスです。このサービスを開発するために必要なGEをレイヤーごとに定義しています。
(1)Core Context Managementブロック :中心となるブロックでデータの仲介を担います
(2)Interface to IoT、Robotics and third party systemsブロック :IoTデバイス、ロボティクス、他システムなどと連携しデータを収集します
(3)Context Processing、Analysis、Visualizationブロック :データの分析や可視化を担います
(4)Data/API management、Publication Monetizationブロック :データのアクセス権や公開制御などデータフローを実現するための機能を提供します
各ブロックには、複数のGEが配置されます。上記のアーキテクチャーは、スマートシティのためのGEの活用例です。目的とするサービスを開発するために必要なGEを選択したり、GE以外のコンポーネントを追加したりが可能です。
FIWAREの最新バージョンは2020年4月末時点では「Release 7.8.1」で、27のGEで構成されています(図2)。各GEのソフトウェアとドキュメント、環境構築手順、およびその使用条件は「FIWAREカタログ」と呼ぶサイトに公開されています。
FIWAREのアーキテクチャーには次のような特徴があります。