• Column
  • デジタルで変わる組織―離れていても強いチームを作る

人物理解とゴールの共有が、より良いチームを作る

信頼残高を貯めるチームコミュニケーション~with コロナを勝ち抜くための組織力向上のtips~

DIGITAL X 編集部
2021年1月29日

家計簿アプリなどを提供するマネーフォワードの子会社で企業向けコンサルティングを手掛けるマネーフォワードシンカ。海外拠点を含め複数のオンラインツールを活用しているが、課題もある。マネーフォワードシンカでシニア・コンサルタントを務める山本 華佳 氏が「Digital X Day 2020 Online Live」の特別講演に登壇し、オンラインでのチームコミュニーケーションについて、自社での取り組みを振り返りながら紹介した。

チャットやWeb会議などを活用したオンラインコミュニーケーションは時間や場所の制約なく実施できることが大きめメリットだ。だが、対面でのコミュニーケーションと比較して意思疎通が難しい場合も多い。

 マネーフォワードは2012年の創業のFintech企業。「お金を前へ。人生をもっと前へ。」というミッションに、個人向け家計簿アプリ「マネーフォワード ME」や企業向けクラウドサービス「マネーフォワード クラウド」シリーズなどを提供する。2019年11月期の売上高は71億円、従業員数は691人にまで成長している。

 マネーフォワードシンカは、企業へのフィナンシャルアドバイスやスタートップ企業などを手掛けるマネーフォワードの100%子会社だ。シニア・コンサルタントを務める山本 華佳 氏は、マネーフォワードで企業向けクラウドサービスの営業本部長として全国7拠点70人を統括した後、2020年2月から現職に就いている。同年7月からはベンチャーファンド「HIRAC FUND」において起業家と投資家のコミュニティ形成にも携わっている。

写真1:マネーフォワードシンカでシニア・コンサルタントを務める山本 華佳 氏

チャットやWeb会議だけではコミュニケーションに課題も

 自身もスタートアップ企業であるマネーフォワードやマネーフォワードシンカでは、コロナ禍以前から様々なクラウドツールを使ってオンラインでのコミュニーケーションを図っている。拠点が国内7カ所、ベトナムに1カ所にあり「使わざるをえないと言う状況にあった」と山本氏は話す。「従業員数は社員とスタッフを合わせて900人、営業担当者も70人を超えるまでに成長していました。距離が離れ、海外とは時差もある環境にあって、最適なツールを探して使っていた状況」(同)だ。

 それでも、情報格差が生まれていた。東京本社での意思決定が拠点に伝わりにくかったり、ある情報や新入社員を知らない地方メンバーがいたりだ。加えて「文章中心のコミュニケーションになるため、意図が正しく伝わらず不快な思いをしたり、置いてけぼり感を感じて、無意識のうちにストレスを抱えたりすることも増えていきました」(山本氏)という。

 コロナ禍以前から複数のコミュニケーションツールを活用してきた。チャット系の「Chatwok」(チャットワーク製)と「Slack」(米Slack製)、オンラインミーティングでは「Zoom」(米Zoom Video Communications製)と「Google Meet(旧Hangout)」(米Google製)、そして同僚に感謝気持ちを送れる「Unipos」(Fringe81製)などである。

 「いずれも素晴らしいツールであり、どんどん使ったほうがいいと考えています。ただ、慣れていない環境で慣れていないツールを使うと、すれ違いが積み重なり、うまくいかなくなるケースも増えてきます。実際、当社もそうでした」と山本氏は明かす。

 フランスで2009年に発表されたレポート『明⽇のデジタル社会におけるテレワークの発展』(仏CAS:Centre dʻanalyse strat.gique)によると、週1日か週2日のテレワークは効率が高まり生産性が向上するが、週2.5日以上になると生産性が下がる。社員同士、社員と組織の接触感が失われ孤立化するためだとされる。