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プロジェクトを統括するスマートシティアーキテクトのミッション【第6回】

中村 彰二朗(アクセンチュア・イノベーションセンター福島 センター共同統括)
2021年7月21日

「スーパーシティ国家戦略特区」の申請においては、プロジェクト全体を統括する「アーキテクト」を選定する必要がある。今後、スマートシティアーキテクトが各地域で活躍することで、地域DX(デジタルトランスフォーメーション)としてのスマートシティ/スーパーシティは加速すると考える。筆者が、この10年、福島で「スマートシティ会津若松」プロジェクトを推進してきた経験から、アーキテクトの役割や求められるスキルをまとめた。

 「スマートシティアーキテクト」はスマートシティ/スーパーシティのプロジェクトの統括役である。その役割について、内閣府が「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」事業において策定した「スマートシティリファレンスアーキテクチャ」を基に解説したい。

 スマートシティリファレンスアーキテクチャについては、筆者の別連載『会津若松市はなぜデジタルを受け入れたのか?』における『日本型スマートシティ」の鍵を握るアーキテクチャーの構築と標準化』においても解説しているので、こちらも参照いただきたい。

図1:「スマートシティリファレンスアーキテクチャ」の仕組み(出所:「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」、内閣府)

 図1にあるように、このアーキテクチャーは大きく、(1)都市マネジメント領域(戦略)と、(2)都市OS(プラットフォーム)の2つの構成要素から成り立っている。その上下に、市民とのインタフェース(参加)と、既存の各組織とのインタフェース(連携)がある。

 このアーキテクチャー全体を統括・調整し推進するのが、スマートシティアーキテクトの役割の範囲である。いわゆるCTO(Chief Technology Officer:最高技術責任者)の主な役割は、図1でいう右半分の都市OSの統括である。それと比較すると、アーキテクトがカバーする範囲は非常に広いことがわかる。

 スマートシティアーキテクトの役割は、アーキテクチャーの4つの構成要素に呼応し、大きく(1)都市マネジメント、(2)都市OSのマネジメント、(3)市民参加を促す連携、(4)既存の組織との連携に分かれる。それぞれについて詳しく説明したい。