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【COMPUTEX 2026:Arm編】チップ自社製造で鍵を握る台湾サプライチェーン、米Armが連携を強調

野々下 裕子(NOISIA:テックジャーナリスト)
2026年8月4日

買収断念を経て深まるNVIDIAとの連携

 ArmとNVIDIAの関係は急に始まったものではない。2020年には米規制当局による独占禁止法(反トラスト法)違反の懸念から中止されたものの、NVIDIAがArmを買収する計画があった。

 また、ハース氏は2013年にArmに移籍する以前、NVIDIA CEOのジェンスン・フアン(Jensen Huang)氏の下で働いていたという経歴もある。そんな中基調講演には、フアン氏がサプライズで登場して両社のタッグが上手く進んでいることをアピールした(写真5)。

写真5:基調講演にサプライズで登場したNVIDIA CEOのジェンスン・フアン(Jensen Huang)氏(右)

 フアン氏は「我々は数年前からエージェントAI時代の到来が見えていたので、台湾でのサプライチェーンも上手く計画が立てられた。そのサプライチェーンは100%成長しているが、需要はそれよりさらに大きいものになっているはずだ」と胸を張る。

 両者は、COMPUTEXで発表した製品のさらなるバージョンアップを進めるロードマップを提示しており、今後も市場が順調に成長を続けると確信していることが分かる。フアン氏は会場の去り際に「我々が合併したらさらに最強になるだろう」と述べ、ハース氏も同意したが、両社の成長ぶりでは実現する可能性はほとんどなさそうだ。

 Armが果敢にチャレンジできるのは、基幹事業のライセンスビジネスが好調だからともいえる。講演では、サプライチェーン以外のパートナー関係も堅調であることが紹介された。

 エージェントAIの複雑なデータ処理は、GPUの高速処理だけでは実現しない。そこでは、全体を制御するCPUとの組み合わせが不可欠となり、Armは省電力かつ高効率なCPUの開発にも協力しており、市場ニーズに応えている。実際、NVIDIAがエージェントAI向けに特化して開発したとする「NVIDIA Vera CPU」もArmベースである。

 また、米Google Cloudや米AWS(Amazon Web Services)が手掛けるAIデータセンター用の自社開発CPUはいずれもArmベースであり、ハース氏は「さらにパートナーは増えている」と強調する。Arm AGI CPUを中心とするエコシステムについても、新たに米Oracle Cloud Infrastructure(OCI)が加わることが発表され、順調さがうかがえる。

AIサーバーからロボットまで存在感が増す

 講演後に実施したプレス向けQ&Aセッションでは、売り上げに関する数字について具体的な回答はなかったが「成長は続いている」(ハース氏)と説明した(写真6)。

写真6:業績成長をアピールするハース氏(中央)とArm幹部ら

 理由として「過去12カ月に展開されたコンピューティング製品のうち、50%以上がArmベースであった」(ハース氏)とする。登壇したArm関係者は「競合他社もAI市場への参入を強化しており、今後競争は厳しくなる。ハース氏を中心に力強くビジネスを進めている」とコメントした。

 Armがどのような製品に搭載されているかは、基調講演会場に隣接したデモエリアでも紹介された。その中には、AI開発プラットフォームの米Hugging Faceと仏Pollen Roboticsが共同開発したコミュニケーションロボット「Reachy Mini(リーチー・ミニ)」がある(写真7)。会場展示以外にも人型ロボット(ヒューマノイド)にも採用実績がある。

写真7:コミュニケーションロボット「Reachy Mini」を使ったエージェントAIの実演デモ

 フィジカルAIで成長し、エージェントAIの浸透によって活躍の場を広げるロボット市場でもArmが存在感を増すのか、これからの動きが気になるところだ。