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- 会津若松市はデジタル化をなぜ受け入れたのか
会津若松のデジタル化は第2ステージへ【第19回】
「地元産業×ICT」による地元活性化と「他の地域への展開」
2019年4月22日、会津若松市が新たな形でのIT企業誘致を図るための新拠点「スマートシティAiCT(アイクト)」をオープンさせた。まずは入居企業17社から合計400人がAiCTでの業務に就く予定だ。市民や地元企業との交流拠点として、AiCTから会津発のイノベーションが生まれることへの期待は大きい。AiCTは会津若松のデジタル化が“第2ステージ”に進むことを意味する。会津若松の“第2ステージ”の展望を考察する。
2019年4月22日、ICTオフィスビル「スマートシティAiCT」の開所式には、情報通信技術(IT)政策担当 内閣府特命担当大臣の平井 卓也 氏、会津若松市長の室井 照平 氏をはじめ、国や県、市の行政関係者やAiCT設立に尽力された議員の方々のほか、各界のリーダー、大学関係者、入居企業の代表者クラスが顔をそろえた。
参列者も約250人に上り、立ち見が出るほどの盛況さであった。地方創生モデルとして会津地域への期待が大きいことの現れだろう。そのテープカットは、会津若松のスマートシティプロジェクトにおけるキーパーソンが全員そろった場面でもあり、筆者としては感慨深い瞬間だった(写真1)。
地方創生のトップランナーとして期待される会津若松
2011年、筆者らは会津若松市で「会津復興・創生8策」の議論を開始したことは、第2回で説明した。会津の課題をデジタルデータを活用して解決しようとした取り組みは、そこから約8年が経ち今を迎えている。スマートシティAiCTの誕生は、その“第1ステージ”が完了したことを示す記念すべきマイルストーンである。
第1ステージでは、ICTを基盤とするスマートシティのための地域プラットフォームの構築と市民の参加率にこだわったデジタルサービスの提供に取り組んできた。これからの“第2ステージ”では、地域内の各産業領域のデジタル変革を実現していくことがテーマになる。第2ステージのミッションには「『成長への貢献』を成功させ、それを他地域に広げる」ことまでが含まれる。
本連載でも繰り返し述べてきたように、AiCTはいわゆる「ハコモノ」ではない。スマートシティプロジェクトが本格化する中で参加企業も増え、結果として、それらの企業を集積する場所がほしいという必要に迫られて計画された拠点である。それが総合都市計画の中核事業になった。
開所式に臨席された平井 卓也大臣がスピーチで指摘した通り、会津若松は“地方創生のトップランナー”だ。これからスタートする第2ステージこそが、会津若松市が本領を発揮するための場だ。
またAiCTにはトップランナーとして、もう1つの特徴がある。「RE100」というグローバル基準に対応した最新施設であることだ。 RE100は、企業活動におけるエネルギー源を100%自然エネルギーで賄うことを推進する国際イニシアティブだ。AiCTの電力は100%再生可能エネルギーを利用する(写真2)。
そのAiCTには弊社を含む計17社、約400人が入居を予定する。会津を先端デジタルテクノロジーの実証フィールドとした取り組みが、さらに加速していく。